プロローグ

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もちろん、大会が近づいたら調整するけど…入学直後に様子もわからずいきなり部活に全力を注ぐわけにはいかない。俺が目指すのはサッカー選手でなくて、医者になることだから。それも留年や浪人なしのストレートで。 別に、国家試験浪人をしたら人生終わりとか、そんなことは思っちゃいない。 どうしても目指したい職業があって、そのために必要な資格を取るために時間をかけることは素晴らしいと思うよ。 でも、俺はプライベートで一年もの余裕がないからさ。 ただでも人より長い学生生活を送るんだ。一学年下の大事な恋人と、この先もずっと一緒に生きていくためには、可能な限り早く一人前になりたいというのが正直なところ。 生まれて初めてできた俺の恋人も、結構俺と似たタイプの真面目でストイックな性格をしてるから。「やるべきことを一生懸命」とか「優先するべきことを最優先に」とかいった感覚は共通してる。 というか、むしろ彼女の方がその傾向が強いかもしれないし。 サッカー部に入って、あと何年か頑張ってみよう…ということは、高三の夏前に部活を引退したときにはなんとなく思っていた。もちろん現役で合格できたら、っていう前提ではあったけれど。 ギリギリでなんとかその条件をクリアして、いざ大学生活が始まってみたら、忙しいと同時にすごく充実してる。一年、結構無茶苦茶なことをした自覚はあるけれど、頑張ってよかったなって、今心の底から思うんだ。 それと同時に、今までどれだけたくさんの人に助けてもらい見守ってもらっていたかも改めて自覚してる。 これも生まれて初めて一人暮らしを経験して、本当に毎日毎日感謝と…寂しい気持ちの繰り返しだ。
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