プロローグ

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勉強って、本当に習慣だなと思う。 兄貴は、ずっと部活をやりながら生徒会長とかもやってた人だし、日常的にちゃんと勉強してて、テスト前に慌てるような姿は見たことがなかった。 俺は、そんな兄貴を見て育ったもんだから、中学一年の最初の定期試験ではとんでもない点数を連発した。 だって、テスト前に勉強しなきゃいけないって、知らなかったんだよ。 いや、ホントに。ネタとかじゃなくて。 だって誰も教えてくれなかったんだもん。 サッカーばっかりやってた小学生が、そのまま中学生になってさ。 授業は一応真面目に聞いてるつもりだったんだけど、放課後はさっさと校庭に走りに行くような生活が楽しくて楽しくて。 なのに二か月もしないうちに、最初の定期テストが近づいてきたんだ。 部活が停止になって、「つまんね~」とか思いながら、普通に過ごして。 ヒマだからいつもより長く寝たりしてた。 返ってきたテストを見て、呆然としてしまった。家庭環境が災いした。 あの時は、めずらしくお母さんにも怒られたな。 でも兄貴は、俺が知らなかったということにすぐ気づいてくれて。 部活に時間を使うのであれば、普段の予習復習時間をどうやって短くすればいいかを、ちゃんと教えてくれたんだ。 当時高3だったから、自分だって忙しかっただろうに、期末テスト前にはリビングで一緒にテスト勉強をしてくれたりした。 それ以来、俺は、毎日部活部活でテスト前だけ勉強を詰め込むタイプだった。 その分毎日の授業はちゃんと聞いて、なるべく授業中に理解するようにはしてた。兄貴にそうしろと言われたし。 高校最後の半年でそういう勉強の仕方から脱却して、毎日継続的に学ぶという習慣がようやく身に着いたから、これを維持して何とか…学年ビリからは早めに脱出したいところだ。
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