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根回し開始
講義や周りの環境にも少しずつ慣れてきた4月の中旬。
ようやく自分自身も、大学生になったという事実をちゃんと受け入れて、自分の属性が一人暮らしの大学生であると理解できるようになったような気がしている。
あと、部活の時に自分が来ているのが紺緑の10番じゃないことにも、ちょっとずつ慣れてきた。
入学式の後二回目の週末に、九州の野田からメールが来た。
『医学部生活はどう? GWに遊んでる暇はなさそうかな?』
…あ。すっかり忘れてた。
そういえばそんな約束してたんだったな…あ、結花も誘ったまま放置してた。
結花とは、毎晩ビデオ通話を5分だけつなぐ約束をしてる。
お互い今年は勉強が一番の年だと思ってるから、それが限界。特にどちらからも連絡がなければ、21時ちょうどから5分間。
だから大体毎日顔を見て話をしているんだけど、俺が結花の話を聞きたがるもんだからさ。今日何があったとか聞いて、笑い合って…終わり。
この間北見から電話が来た時にそのことを話したら、『またお前らは…ばかじゃね~の』って呆れられた。
でも、特進で部活もがんばってる結花の邪魔なんか、絶対しちゃダメだろ?
ちなみに北見は、自宅から通える私立の理系大学に進学した。
なので、三年の時考えてたOBがフォローする体制を作るのを、北見に丸投げしておいた。俺はどうも手が回らなそうだから。
それもあって、週に何度かっていうペースで今でも高校に顔を出してくれてるみたいだ。
マネチームとの調整だから、練習を横目にベンチ周辺であれこれとやってくれてるんだって。
本当なら、結花の負担を減らすための方策なんだから、俺が中心になって建てたいところだけど、物理的に無理なのがわかってるから無理はしない。俺は使えるものはなんでも使う。もちろん信頼できる相手限定だけど。
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