根回し開始

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結構前から思ってたんだけど、多分あいつは俺よりキャプテンに向いてる。 あと、俺は結構あいつのことが好きだ。 人としてな。 俺たちが入学したとき、木村先輩からかなり早い段階で俺が学年キャプテンに指名されたんだ。当時の俺は本当に何にもわかっていないガキで、人前に立つこととか、チームを引っ張ることなんて全くできていなかった。 先輩たちだって、当然わかっていたんだと思う。 でもおそらく技術面と、推薦組だという理由で俺が選ばれた。 殿前は、低迷の底にはいたけれど、それでも私立強豪校の一角を担うチームだった。サッカー推薦で入ってきた生徒が、主にレギュラーとなるのが当然だったんだ。その中で、キャプテンと副キャプテンを建て、上級生中心にチームを作っていく。 木村先輩と翔さんの学年が、それじゃダメだって考えて、違う方向にチームを持っていこうとしたって、那奈さんが話してくれたって、結花から聞いた。 詳しいことは知らないけど、俺や北見を一年の頃から使ってくれたのは、そういうことだったんだろう。 そして、伝統校の暗黙のルールを破る形で北見を選んだ。 俺が学年キャプテンを受けた後少し日がたってから、既に仲良くなっていた北見が副キャプテンに指名されたんだ。本人はかなり固辞してたみたいだけど、最終的には引き受けてくれた。 北見は事情があって一般クラスで入学していたから、あいつを副キャプテンに推すことも引き受けることも難しかっただろうと、俺は理解したのは結構後だったな。 北見が相棒じゃなかったら、俺はあれだけの結果を残せなかっただろうと本気で思ってる。怪我をした試合のことだけじゃなくて、二年半ずっと俺は北見が隣にいてくれたからやってこれた。 同級生だけど、あいつの方が絶対精神的に落ち着いてると思うし。
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