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結花と会えないのは、お互い覚悟してたことだ。
だけど、定期連絡を電話やメッセージじゃなく、ビデオ通話にしたいと主張したのは俺。
『何曜にする?』と聞いたのが結花で、『毎日』と答えたのが俺。
どうも俺たちは…結花がかなり淡白で、俺の方が…執着してる?
会いたがるのも、顔を見たがるのも、いっつも俺。
メッセージにはなるべく早く返信しろとか、めんどくさい彼氏みたいなことは言わない。別に返信のスピードとかはどうでもいいんだ。
でも、文字だけよりは声が聞きたいし、声だけよりは顔を見たい。
結花の学年が受験学年となり…そろそろ進学先を決めていくタイミングに差し掛かってきてる。家族で話し合うことだと思うから、俺は自分から口を出したり結花に聞いたりはしないけど。
自宅通学の大学に進学されてしまったら…あと何年遠距離が続くんだろう。
そんなことも北見に愚痴ってはみたけど、何の解決にもならなかった。当然だ。
「そんなことわかってて、お前はそっちに進学したんだろ。
逆にお前が自宅通学できていたとしたって、結花が地方に進学したら終わりじゃん」
とか、冷たく突き放されて終わり。
確かに、恋人と一緒にいたいから近くの大学を選ぶとか…するべきじゃないと思うよ。だけどさ、高校時代に出会った相手とこの先も一緒にいたいと思ったら、どうすればいいんだろうかって、ちょっと真面目に考えたりしてる。
そういえば結花のお母さんからは、一緒に野田に会いに行くことに許可が出てるんだよな。
もしかして…千里をうまく味方につけることができたりしたら。
三人で行くと言ってもらって、千里は実は行かないってことをしてもらったら。
俺と結花の二人…ってのもありか?
一瞬いけない妄想をしかけるが、すぐに却下する。
…無理だな。
千里が口裏を合わせてくれるとは思えない。あの二人は、よくわからないけど多分お互い大好きだ。三人で行くとなれば、余るのは俺だろう。
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