プロローグ

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プロローグ

大学入学から二週間。 予備校チューターでたいがい世話になった下館(しもだて)さんも言ってたけど、医学部は一年次から専門科目が入ってくる大学と、全然入らない大学がある。 もちろん俺は、そんなことを選べる立場ではなくて、唯一俺に合格をくれたところに進学したから、始まってみたら少し医学部っぽい雰囲気があるかな、くらいのカリキュラムだった。 でも、生物や数学を中心に、医学の基礎も学ぶ中で、周囲の学力レベルが高いな…と思うことはよくある。 俺は、おそらく同級生の誰よりも医学部を志したのが遅かっただろうし、それに伴い当然勉強した時間も短い。とにかく詰め込んだだけだ。 しかもどの大学からも合格をもらえず、最後の最後にここに拾ってもらったんだから、おそらく基礎学力面では同級生の中でも下の方。 受験期の最後の方は、『なんで俺ばっかり落とされるんだろう』とか思って腐ってたけど、当たり前のことだった。俺の学力が、足りていないというだけのこと。 この大学の後期で拾ってもらえたのは、本当にラッキーだったと思う。 試験問題と相性が良かったのと、もしかしたら採点してくれた先生と思考の感覚が似てたのかな。わかんないけど。 だから、入学と同時に月水金に練習があるサッカー部に入部したけど、俺は自主的に月金と試合がある週末だけに活動日を絞った。他にもそういう人はたくさんいて、週一回とか、試合には出ないでいいとか言う人もいる。 週末に、次の週の準備と前週の復習を何とか詰め込めば、月金ならいけるかな…と思っている。
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