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新名組若頭 栗山達明。
敵対する組織との抗争の末、命を落としたはずなのだが、目を覚ました。
見慣れない天井、質のいいフカフカの布団、そして何より……なんか良い香りがする。これは…芳香剤だろうか?いや、人工的なあの鼻につく匂いではなく、草花の自然な香りだ。アロマってやつか?
(どうなってるんだ?)
達明はベッドから起き上がり、部屋を見渡す。
昔、海外旅行で観光した宮殿のような豪華な部屋だった。
(ここは何処だ?夢を見てるのか?いや、ここが天国ってとこか?)
部屋をウロウロしていると、大きな姿鏡に写った自分の姿を見て、思わず悲鳴を上げた。
そこに写っているのは、茶髪に白い肌、ぱっちりとした深い蒼色の瞳が特徴的な見目麗しい少女だった。
「お嬢様!!如何されたのです!?」
「何事ですか!?エウヘニア様!!」
部屋に2人のメイドが文字通り、飛び込んできた。
「え!?いえ、何でもないわ。ごめんなさい、変な夢を見たみたい。」
「そうですか?凄い悲鳴でしたよ?」
「ええ、寝ぼけていたわ。心配しないで、大丈夫よ。」
「そうですか。もう少し休まれますか?まだ5時を過ぎた所ですわよ?」
「いえ、もう目が覚めてしまったわ…。珈琲を淹れてきて貰えるかしら?」
「かしこまりました。カフェオレにしましょうか?」
「ええ、そうして頂戴。」
「少し甘めにしますね。」
「ありがとう…。」
2人のメイドはそのまま部屋を出た。
達明は溜め息を付いて、ベッドに座り腕を組んで考える。
ここはヨーロッパのイーヴァ王国。
そして俺は、いや私は、ダーウィ侯爵家の娘 エウヘニア・ローラ・ダーウィ、15歳。クラーク大公妃 ヘンリエッタ・ハープ・クラークの妹である。
イーヴァ王立学園の中等科に通っている……。
こりゃ、あれか?結香お嬢(新名組組長の孫娘)が読んでた、転生ものっていう漫画だか小説と同じようなパターンか?
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