纏めて面倒見てくれようか!

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ディーヴァ・マリー・タリアン公爵夫人は扇子で欠伸を隠した。 (国が今、大変な時に呑気なもんね。でも、学生たちには気兼ねなく学園生活を送ってもらいたいっていう親心もあるわけだけども……。男って本当に議論が好きねぇ。) 春休み期間中ではあるが、父兄会が中心となり、教員や学園関係者たちは会議室で、マクシミリアンの取り巻きであった、パーヴェル・ジャン・ファルネーゼ伯爵令息とジェイコフ・ウィル・オーランド伯爵令息、その他2名の生徒の処遇について議論していた。 (いい加減、結論出しなさいよ。ってか私たちの提案を難癖付けるから話が拗れるんでしょうが。) ディーヴァは他の御夫人方を見る。同じような諦めモードな顔をしている夫人も居れば、小説を読み出す者、はたまた寝ている夫人まで居る。 自分たちの名誉の為、言わせてもらうが昨日はちゃんと議論したさ。 「学園の風紀を乱し、無実の女子生徒を大勢の前で凶弾。反省の色もなし。問題を起こしながら学園生活を続けるのは不公平ではないのか。パーヴェルたちは退学処分にすべき。」と御夫人方は意見し、ほぼ決まりかけた時に、誰かが「退学は重過ぎるんじゃないか?」と言い出し、「マクシミリアンとルフィナは退学処分となったぞ。」とか「そもそもの発端はルフィナだろう。」とか言い出し、なんか訳分からん方向に行ってしまい、キリがないので昨日は夕方に解散。 本日も朝から話し合いが行われているのだが、昨日の続きだ。 「タリアン夫人、お茶を淹れてこようと思うのですが、紅茶と珈琲、どちらになさいます?」 「珈琲をお願いできますか?シュガーもミルクもいりませんわ、濃い目のものを頂ければ有難いですわ。」 「ええ。タリアン夫人は珈琲……ブラックっと……。」 いい加減疲れてきた御夫人方はお茶でもして時間をやり過ごそうとし始めた。 御夫人方がお茶を始めてから1時間が経過。 未だに結論が出ない。 終いには教員たちもお茶をし始めた。 (はぁ〜〜………。) 思いっきり溜め息を吐きたかったが、3杯目の珈琲と共に流し込んだ。 (あー!もうーーー!!キリがないわねぇ!) いい加減、我慢の限界を迎えたディーヴァが立ち上がった瞬間、バンっと勢い良く会議室の扉が開いた。 「何をゴチャゴチャと訳の分からない事を言って時間を無駄にしているのですかっっ!?」 会議室に、レオノール・フィアナ・スフォルツェ夫人の声が響く。 「まったく……無駄な議論でここまで熱心になれるとは……。貴方たちにもが必要ですか?」 少し遅れてディーヴァの祖母 ベルローズ・マリー・オギュー夫人が入ってきた。 イーヴァ王国を代表する、マナーの鬼ババアたちの登場に会議室はシーン、と静まり返る。
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