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「ス、スフォルツェ夫人!?」
「オギュー夫人も何故、此方に?」
「何って……。小僧たちを迎えに来たのですよ。」
「………え?」
その場にいた全員が絶句する。(ディーヴァは内心、笑い転げているが……。)
「マクシミリアンとルフィナは私が預かっておりますが……。何だったら纏めて面倒を見てやろうと思いまして。」
「レオノール様お1人だけ負担させる訳には参りませんから。ですから、私と手分けしませんか?とお伝えしたところ、了承を頂きましたので。」
「えっと……学園としてはまだ退学かどうかを決めかねている状態で……。」
「だったらさっさと決めなさい。それにあの子たちの両親からは了承を得ています。」
「自分たちの子育ての失敗を、私やベルローズに託すのはどうかと思ったが、どうかしごき倒して下さい、と頼まれたのでね。」
頼まれたって言ってるけど、それ本当か!?とその場にいる全員が思ったが、鬼ババアたちが怖すぎて誰も何も言えない。
「学長。」
「はい!」
レオノールに呼ばれ、イーヴァ王立学園学長は勢いよく立ち上がる。
「最終決定権は学長である貴方にあります。
パーヴェルたちを退学処分にする事の何処が難しいのでしょう?これだけ学園の風紀を乱し、貴族令息としてあるまじき行動を続けた生徒たちを庇う理由は?」
レオノールに睨まれ、タジタジの学長。そして重い口を開く。
「パーヴェル・ジャン・ファルネーゼ、ジェイコフ・ウィル・オーランド、他の2名の生徒の退学処分を宣言致します。」
「最初からそう言えば良いものを……。」
「これで決まりですね。では、書面の準備を……。」
それからとんとん拍子にパーヴェルたちの退学処分の手続きが進んだ。
(最初からこうしていれば良かったのかもしれないわね。)
ディーヴァは手続きを淡々と進める学長と教員、それをじっと見守る鬼ババアたちを見てそう思った。他の御夫人方も同じような事を思っているのか、顔に出ている。
レオノールとベルローズがやって来て僅か30分で、全ての手続きが完了した。
「まったく……たったコレだけの為に時間を費やすなんて……。」
白熱した議論を展開していた父兄たちをベルローズが睨み付ける。
途端に父兄たちは震え上がる。
「貴方たち、付いて来なさい。」
「「……はい??」」
「聞こえませんでしたか?……付いて来なさい。それとも………ここでズボンを降ろしましょうか?私は構いませんが??」
地を這うベルローズの声に父兄たちは可哀想なぐらいにガタガタ震え上がり、生まれたての子鹿のような足取りで、レオノールとベルローズと共に会議室を出たのだった。
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