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「珍しいな、バルバラ。1人か?」
「スタンリー。偶にはねぇ……。」
昼休憩。
エウヘニアと共にカフェテリアに行こうとしたら、マックス王子からランチの誘いを受けた。
「行ってきたら〜?」
「え?バルバラ?」
「偶には1人で過ごすわ。本の続きも読みたいし!じゃあねぇ。」
戸惑うエウヘニアを置いて、バルバラはさっさとカフェテリアに行ってしまったのだった。
「本の続きが読みたいのは本当よ。」
「はいはい。
んー……美味いのは美味いんだが……やっぱ味が薄いなぁ。」
「戦争の影響って少なからず出てきてるって感じね。」
春休みの終盤辺りから、イーヴァ王国内では砂糖の価格が高騰し始めていた。
戦争の影響で運搬に利用する道が通行止めになっていたり、軍により閉鎖されている地域があったりと、流通がかなり滞っているのだ。
今月に入って、下級貴族や中級貴族でも購入するのに少し躊躇ってしまう価格となり、庶民はとてもじゃないが手が出せないので、砂糖の代用品を探してどうにかしているというのが現状だ。
「サゼッタ商会のショコラ店に行った時も美味しいかったんだけど、なんかいつもと味が違ったのよねぇ……。サゼッタ商会であれなら一般家庭が買える訳ないわ。
ランサーおじさまが今、戦争で影響の出ていない、もしくは比較的影響が少ない運搬ルートを探してるって言っていたわ。運搬ルートを確保でき次第、状況を見て市場に少しずつ流通させたいって。」
「俺のクラスに庶民階級の子たちがいるんだが、家にある砂糖をなるべく使わないように、まだ比較的購入しやすい蜂蜜や果汁なんかで代用してるって言ってたな。だが、やっぱり砂糖じゃないとキツい料理もあるって。」
「国や軍がどうにかしようとしているのは分かっているわ。でも……早く終わらないかなぁ。」
「同感だよ。なぁバルバラ……今朝の新聞は見たか?」
「ええ。姜が降伏したって。……アーチャー大佐の第3連合艦隊が随分と活躍されたようね。もう少しでお戻りになるんじゃない?」
「そうだと良いんだが……。でも暫くは姜に留まるだろうな。降伏しました、はい終わりって訳じゃないし。やる事は山ほどあるだろう。
……ウィンドゥ王国と協定を結んで、連合軍が結成されただろ?」
「うん。お父様も早かったら来週には行かれるかも…。」
珍しくションボリしているバルバラに、スタンリーはどう声を掛けようか迷った。
「でも、第1歩兵師団は先のラヴァル公国の戦争で幾つも戦果を上げられてるのよ、きっと大丈夫よ。」
要らぬ心配だったか……。
「お父様より私はギーゼラが心配よ……。ラヴァル公国との戦争の時はあの子まだ生まれてなかったし。お父様が戦地に赴くと分かると、きっと心配で心配で心を病んでしまうんじゃないかって……。こういう時こそ、姉である私がしっかりしないと!」
別の心配があったわ。
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