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久遠のなかで
もう何度目の出逢いがあったのだろうか。
そして、出逢った人達と何度目の別れを体験しただろうか。その回数を思い出すことは不可能だった。
なぜなら、あまりにも多く死んで、生を受けたのだから。ある種の永遠の命を得たのだった。
初めての死は今でもなんとなく思い出せる。あの時は学校に通う途中で交通事故にあって、そのまま命を落とした。自分を轢いたのが車なのか、トラックなのか、それとも他の何かなのかわからないほど突然、意識を失った。
再び意識が戻った時に広がっていた世界は大きかった。どうして、自分の見ている世界がこんなにも大きいのか。そう、疑問に思ったのとほぼ同時にあることを認識した。
知らない人が目の前にいる。
誰だと不思議に思い、それが恐怖に変わり、まるで赤子のように泣いた。その瞬間に理解した。自分が赤ちゃんになっていると。
そうやって、以前生きていた頃の記憶を残しながら、何度も様々な人生を歩んできた。転生だの、輪廻なんて言葉があるのは知っていたが、実際にそんなことがあるのかと感じた。
最初は誰かに話そうとしたが、すぐにやめた。こんなことを話しても誰も信じてくれないことがわかりきっていたからだ。だから、前の人生の記憶を持っていることを誰にも話すことなく、今まで生きてきた。
そして、今も幸せな家庭を持ち、不自由なく暮らしていたのだった。
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