補う_2

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補う_2

 明け方に結局二回して、目覚めたらもう太陽が昇っていた。シャワーを浴びたのか、濡れたままの髪でソファに座っていた夫が振り返った。無表情だが美人だ。 「おはよう」 「おはようございます!」  ベッドからぴょこっと起き上がってソファの方へ行こうとしたけれど、足に力が入らなかった。全身が痛い。もう一度ベッドに寝転んで天井を眺めた。こ、これはえっちが激しすぎて動けなくなるやつでは……。最近は論文を書いてばっかりだったから、バイト三昧だった頃より筋力が落ちてるのかもしれない。 「私、筋トレしますね」という唐突な私の言葉に「頑張りなさい」とだけ答えて、宮燈さんが立ち上がる。ベッドの端に腰かけて言った。 「朝食は、和食と洋食のどちらがいい?」 「和食がいいです」 「わかった。部屋で食べよう」 「ありがとうございます。一番食べたいのは宮燈さんが作った玉子焼きですけどね。そうだ、同居したら私にお料理を教えてください」  私は昨日、夕飯を食べながら思っていたことを話した。すると、なぜか宮燈さんの纏う空気が冷たくなった。 「……教えられるほど上手ではないから」 「上手ですよ! とっても。私も覚えて作りたいです」 「私は……料理するのはあまり好きではないんだ……」  なんだかちょっと意外な気がしたから、私は黙った。お料理好きじゃないのに、上手なんだ。変なことではないかもしれないけど違和感があるなあと思ったから、私は宮燈さんの所まで這って行って聞いた。
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