橘部長を観察したい!_2

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橘部長を観察したい!_2

「終わったか。お疲れ様」  面談が終わって外に出たら、また待合いに橘部長がいた。なんでいるんだろう。うれしいけど。  あれ? 私、会えて凄くうれしい。 「見守ってくださって、ありがとうございました」 「また会えるのを楽しみにしている」  能面のような顔で言われてもなぁ、と思いつつもうれしかったから、私は笑って橘部長を見上げた。  相変わらずの無表情で見下ろされていると「急にどっか行かないでください!」と慌ててる杉岡さんが橘部長を連れていってしまった。 「橘部長、全然楽しみって顔じゃなかったですよねーあはは」  私が採用担当の林さんに笑いながら話すと、林さんが呟くように小さな声で言った。 「部長が楽しみとかいう単語を口にするの初めて聞いたかもしれない……」 「私、期待の人材です? 内々定ですか?」  私がそう軽口を叩くと、林さんが「清川さんって本当に物怖じしないよね。それに、それ素でしょ? 立場上色んな学生を見てきたけど、虚勢はってる学生はすぐわかるから」と言って笑っていた。
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