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科学技術が進化を極めた超未来。
どうにも出来ない少子化で、人間の数が減ってった先、地球上の国がたった一つになっちゃった。
人口も、とうとう百人切っちゃう始末。
ついでに言えば、地球もそろそろ寿命を迎える、そんな時代の話でね。
星を捨てるか、共に朽ちるか。
人類は、究極の二択に迷ってた。
砂漠の中からダイヤモンドを探すぐらいの、そんな僅かな確率に掛け、宇宙へ希望を求めに出るか。
いや、俺たちはこの星に生きてきたんだ。地球と共に、宇宙の藻屑と散り果てようぞ。そんな意見も根強くあった。
人々は、地球の暮らしに飽きちゃった派と宇宙旅行面倒派に分かれ、そんな議論を毎日毎晩、酒を片手にやっていた。ぶっちゃけ、めちゃくちゃ暇だった。
全自動なんとか機械が、仕事を全部取っちゃったから。
そんな中、一人の鬼才がコインを投げ上げ、世界人口100人足らずに、表に張るよう促した。
「どうだい、みんな。病気も寿命もない世界に行きたくないか? 地球の寿命も無限に延ばせる、そんな未来に行きたくないか?」
赤ら顔した面々は、夢物語を疑いもせず、コインの表に全額を張った。
彼が考えた計画はこう。
世界の全てを人工物に置き換える。動物も、植物も、人間だって、地球さえ。
「生き物であれば、いつか必ず寿命がくるさ。だったら星ごと、人工物に作り替えたらいいのでは?」
もちろん、飲んべえ達が作り替えるわけじゃ無い。全自動なんちゃら機械が、星を丸ごと作り替えてくれるのを、乾杯しながら待ってるだけだ。
寝てればすぐに終わるだろう。ビバ、アルコール。
「乾杯はちょっと待ち? もちろん俺らも人工物に変わるんだからね? さっきそう言ったでしょ?」
アルコールを吹き出す皆。なんだってー!?
「地下に巨大な病院を作っておいた。
体の全てを機械に変えて皆がロボットになる頃には、この星だって作り替えられロボット星になってるだろう。
あっという間にできあがり。終わったら、浴びるぐらい飲もうじゃん? 時間は無限にあるんだし」
それもそうかと人々は、文句も言わず地下へとくだり、ベッドにドサリと横たわる。
ナース服の全自動ほにゃらら機械が、注射器とメスを手に持った。
「一つだけ、注意があるからよく聞いてくれ。精密機器の人工物は、自然の力に弱いんだ。自然物に触れちまったら、即死するから気をつけて」
一斉に、ナースのメスを手で払い、ベッドの毛布が折りたたまれる。
「何を心配してるんだ? 俺らの向かう未来では、星が丸ごと人工物になるんだぞ? 自然の物に触れる機会はこれっぽっちもなくなるからな」
一斉に、酒を煽って毛布を被る。
「俺らは最後の人間なんだ。そして、最初の超人間になる生き物さ。おやすみなさい、人の子よ」
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