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断捨離を済ませ、部屋をきれいに掃除した後、努はいちかと近くのショッピングモールを訪れた。店内は夏休みで遊びに来た学生や家族連れで賑わっている。
努はいちかを連れ、比較的安価でそこそこオシャレな洋服店で服を探した。
「うぅむ……白いワンピースは確定として、残りはどうしよう? 靴とかアクセサリーも揃えたいな。いっそ、一週間全部買おうかな?」
「君が選ぶ服、全部スカートじゃない。一着くらいはズボンにしてくれないと困るんだけど」
「そ、そう? じゃあこれとこれはやめようっと」
結局、努は六日分、計六タイプのコーディネートを自腹で支払い、いちかにプレゼントした。
休憩がてらコーヒーショップに立ち寄り、ドリンクを飲んだ。
努は最も安価なアイスコーヒー、いちかはホウレンソウベースの野菜と果物のスムージーを頼んだ。
「やっぱ女の子って美容に気をつかって、そういうの飲んでるんだね」
「……みんなってわけじゃないわ。私は必要だから飲んでるだけ」
いちかは大して美味しそうに飲むわけでもなく、スムージーをストローで一気に啜った。
「そういえば、廊下に出してあった家具って全部捨てるの? 勉強机とかベッドとかあったけど」
努は廊下に出してあったいちかの家具を思い返し、尋ねた。他にもテーブル、椅子、本棚などなど、生活するのに必要な家具だらけだった。
「だってもう、必要ないから」
いちかは素っ気なく返し、スムージーが入っていたカップを近くのゴミ箱へ捨てた。
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