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7
なんとか互いの宿題を終わらせ、始業式を迎えた。
朝、メールを確認すると、いちかからメールが届いていた。日付は今日に変わる直前だった。
『葉月君。君と過ごした夏休みは私にとって、最高の思い出になりました。本当にありがとう。君は"夏休みが終わった後も付き合おう"と何度も言ってくれていましたね。ずっとすげなく返してきたけど、本当は嬉しかった。でも、私は君とは付き合えません。いいえ、君とも、君以外の人とも付き合えません。私にはそんな資格はないから。さようなら』
努はメールを読んで悲しくなった同時に、少し嬉しくもあった。
当初、あんなに冷たかったいちかが、今は自分を大切な人間だと認識してくれている。「付き合えない」と言われたって引き下がるものか、と闘志にみなぎっていた。
「今は友達でも、絶対にまた付き合ってみせる!」
努はワクワクとしながら、学校へと向かった。
メールを読んですぐにいちかへ返信したが、学校に着いても既読はつかなかった。
いちかは学校に来ていなかった。連絡もつかない。
体調が悪いのではと心配になり、他の同級生達に尋ねてみたが、誰も知らなかった。
いちか不在のまま、始業式を行うために生徒全員体育館に集められた。
すると式が始まる直前、努の担任教師が壇上に立ち、涙ながらに話した。
「悲しいお知らせです。本日、二年A組の一夏いちかさんが亡くなられました」
「……え」
その瞬間、努は目の前が真っ白になった。
先生の声が遠のいていき、床へ倒れる。そのまま意識を失った。
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