29人が本棚に入れています
本棚に追加
「だからね、その電話番号は業者内でタブー視されているのさ。」
そう言って、蓋をガチャリと閉めた店主は私にトランクを渡した。
「ほい、この暑さで熱膨張して鍵穴が変形していたんだろ。油も多めに注しといたから、これで簡単に開け閉めできるはずだ。」
私は店主に礼を言うと代金を支払う。
すると店主はニコニコしながらこう言った。
「何、また鍵のことで困ったらここにきなさい。今日みたいにうるさくない日なら大歓迎だからね。」
そう言って、店主はちらりと電話のディスプレイを一瞥すると…着信で鳴り始める直前の電話をガチャリと切った。
最初のコメントを投稿しよう!