第二日:「鍵屋への電話」

11/11
前へ
/547ページ
次へ
「だからね、その電話番号は業者内でタブー視されているのさ。」 そう言って、蓋をガチャリと閉めた店主は私にトランクを渡した。 「ほい、この暑さで熱膨張して鍵穴が変形していたんだろ。油も多めに注しといたから、これで簡単に開け閉めできるはずだ。」 私は店主に礼を言うと代金を支払う。 すると店主はニコニコしながらこう言った。 「何、また鍵のことで困ったらここにきなさい。今日みたいにうるさくない日なら大歓迎だからね。」 そう言って、店主はちらりと電話のディスプレイを一瞥すると…着信で鳴り始める直前の電話をガチャリと切った。
/547ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加