第三日:「ツバメ」

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「…あの人の話、あまり信じないでくださいね。昔から結構、突拍子もないことを言う人なので。」 奥さんは菓子の袋を持ち、坂道のバス停まで私を送ってくれた。 私は半ば恐縮しながら「いえ、こちらこそ。お菓子をいただいてしまって…」と、モゴモゴ言いながら頭をさげ、バス停まで来たので袋を受け取ろうとする。 その時、ふと、奥さんがプツプツ言う声が聞こえた。 「だって、生まれながらの虚弱体質だって医者が言うから…地元の産院であんなにたくさんいたら…どうせ親戚筋なんだし…顔だって…」 キキーッ その時バスが停車し、奥さんはハッと顔を上げる。
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