第一日:「荷札」

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そう言って上を見上げる老人。 「すこーしずつ増えていって、今はこんなになっちまった。」 荷札はいくら撤去しても時間が経てば元のようになってしまうという。 「…もう、昔のことで知ってる人間も少ねえんだけどな。」 風に揺れる大量の荷札。 私はぶら下がる荷札を見て「それは悲しい話ですね」と素直に口にした。 するとコンクリに座る老人はタバコの2本めを取り出し、大声で笑う。 「なあに、今じゃ札がぶら下がってるくらいにしか思わん。ホントは話をするのもここを通るあんたみたいな人が説明をしてくれと言うからしてるにすぎない…」
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