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三日目、朝
「おはようニコ」
「おはようございます、マスター」
僕が言うと、ニコは目を開けて立ち上がった。
「アップルパイをお作りしましょうか?」
「いやまだ昨日の残りがあるから大丈夫だよ」
「かしこまりました」
その声が少し寂しそうに聞こえて僕は苦笑した。
「ニコ、君は何でも答えられるの?」
「もちろんです、ロボットですから」
昨日の残りのアップルパイをオーブンで軽く焼き直し、コーヒーを淹れてテーブルに並べる。僕は座りながらニコに「そこに座って」と指示をする。「かしこまりました」と彼女は向かいに座る。
アップルパイを一口齧ると、サクリと良い音がした。
「じゃあ、もしも」
湯気の立つコーヒーを啜って、僕は目の前の彼女に問う。
「僕が君を好きだと言ったら?」
僕の問いに彼女は即座に答えた。
「マスターにそう言われた時の答えはもうプログラムされています」
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