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<埋め立て地>がどこを探せば見つかるのか、見当もつかなかった。
でも、埋め立て地というからには、広い土地のはずだ。
最短距離で駅へ抜ける住宅地をまっすぐ突き抜けるのはやめて、手始めに山際の空き地を、帰りがてら散策してみることにする。
この辺りは開発途中で頓挫した、だだっ広い土地が広がっている。見るからに管理が行き届いておらず、古い家具や家電が不法投棄されている一帯があった。
自然と人工物の混ざり合った中を山辺へ向かうにつれて、霧が濃くなってきた。
車道沿いの空き地に多く集まっていた大型家電の成れの果ては、この辺りまで来るとほとんど見られない。
誰かに見つからないうちに不法投棄してしまいたい家電を、わざわざ奥地まで運ぶ物好きはいないだろう。
不法投棄ぐらいでしか人を呼ばない土地を、あてどなくさまよっているなんて、僕はいったい何をやっているんだろう。そろそろ帰ろうか。
我に返り、現実的な思考が急激に戻ってくる。僕の思考を反映するかのように、目の前を覆っていた霧も晴れ始めた。
視界の変化に伴って、すぐ前方の地面に小さな物体のシルエットが見えてきた。
処分するのに家電リサイクル料がかかるテレビや冷蔵庫が打ち捨てられているのはわかるが、普通ごみで出せば無料処分できそうな小物が捨てられているのは奇妙だ。
放置されている物が何なのかが気になる。
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