19人が本棚に入れています
本棚に追加
月曜日 13:17
その日の午後。歴史の授業。
「昔はパルスが無かったのは知っているでしょう? 古代人たちは、何も知らなかったから人を信じなくてはならなかったのよ」
昔の話を聞く度に、なんて効率が悪いんだろうと思ってしまう。
パルスが無い世界などありえない。
だって、もしかしたら自分に合わない職業に就かなくてはいけないかもしれないし、結婚しない人と恋愛をしなくてはいけないかもしれないという事だろう?
望まぬ雨にだって降られてフラストレーションが溜まるだろうし、具合が悪くてもすぐに気づかないんだろう?
そんな事を思う僕の前で、緑色のパルスを揺らす先生が3Dパネルに指を滑らせて、脳裏の言葉を可視化する。
“人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる”
「これはアリストテレスという古代人の言葉よ」
馬鹿みたいだ。だって僕らは、このパルスで全てを管理されている。この世に生まれた時から死ぬまで。そのパルスが示すとおりにする事が正しい事。そんな人生の何処に目標なんてものを作ることが出来ようか。言うまでもなくこれは反語だ。
最初のコメントを投稿しよう!