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そこからは、阿鼻叫喚。精神安定剤のAIは機能停止している。
泣き叫ぶ者、怒り出す者、笑いだす者……以下略。
そんな様子を横目で眺めて、出来るだけ小さな動きで帰る支度をした。前代未聞の緊急事態なのだから、きっとそろそろ帰宅命令が出る。そう思った矢先、ピンポンパンポーンと放送が流れ出す。
「午後13時24分25秒、何らかの障害によりスカイツリーが作動停止しました。これにより、東京都民のパルスが一時的に消滅しております。繰り返します、……」
それを聞いて、やっぱり片付けて正解だったと思った。だってどうせ僕には、何も出来ない。だから焦っても仕方ない。ただパルスに流されるままに生きてきた少年には、ヒーローになって物語を変えるだけの力は無いのだから。
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