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食事が来て、食べ終えた後はまた読書をして、俺と由良さんはほぼ同時に互いの本を読みおわった。 腕時計を見て驚く。 夕食にしてはだいぶ早めの時間に行ったのに、気づけば入ってから2時間以上も経っていた。 「国語の長文で一部読んだことがある本でした。」 「本当?偶然だね。」 「はい。」 お互いの読んだ本の話をしながら家路に着く。 由良さんが読んだ本はアニメなどにもなっている名作だったらしく、彼の話を聞いていたらなんとなく俺もその本を読みたくなった。 日が長くなってきたから外はまだ暗くなりきっていない。 繋いだ手は少し汗ばんでいたけれど、心地良くて離す気にはなれなかった。 「…あの、由良さん。」 「ん?」 「その、…今日は、してくれますか…?…プレイ…。」 家の中の2人きりの空間ではなかなか尋ねることができないけれど、この人で賑わった帰り道に小声で聞くくらいの勇気は俺にもあったらしい。 緊張したのと恥ずかしいので途切れ途切れになってしまったけれど、なんとか聞くことができた。 「疲れてない?体調は悪くない?」 由良さんの問いかけに無言で頷く。 頷く行為すらプレイをねだっているみたいで恥ずかしかった。 「じゃあ、帰ったら僕が先にシャワーを浴びるね。」 「はい。」 普段は俺がシャワーを先に浴びるけれど、プレイの時は由良さんが先に入って俺が入っている間に準備をする。 …今日はしてもらえる。 そのことが嬉しくて、その反面恥ずかしくて、黙って顔を赤くして俯いた。 由良さんの繋いでいない方の手が俺の頭にぽんと置かれる。 全てを受け入れてくれそうな優しい沈黙が心地いい。 結局そのあと家に帰るまで、俺たちは一言も話さなかった。
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