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(幹斗side)
カーテンから差し込む光は眩しいし、じりじりとセミの鳴く音が煩い。
そういえば夏だったなと、実感させられた午前8時。
由良さんはまだ隣で眠っている。
その堅い表情を見て、とても申し訳なく思った。
昨日までのことはあまりよく覚えていないけれど、もし由良さんが4日間も言葉を発しなかったら、なんて考えただけで恐ろしい。
起こさないようにそっとベッドから抜け出しとりあえず朝食をつくろうとキッチンを確認したところ、レトルト食品を除いて食材がほぼ何もないことに気がついた。
スーパーは開いてないけど、コンビニで何か買ってくればいいかな。
外出できる程度に着替えて、玄関へと向かう。
しかしドアノブに手が触れた瞬間足が動かなくなった。
…どうして。
混乱しながら自分の手に目をやるとひどく震えている。
足に鉄枷でも付いているような気分だった。
外が怖い。
外に出たって2人に会う確率なんてほとんどないのに、出ようとした途端脳裏に御坂と仙波君の楽しげに笑う顔が浮かんできて、呪いみたいに離れなくなった。
吐き気がこみ上げてくる。
これ以上は本気でまずいと思い、仕方なくキッチンへと戻った。
使えない自分に腹を立てながら、ホットケーキミックスを手に取る。
ボウルに材料を入れて混ぜているうちに幾らか気分が落ち着いて、フライパンに生地を落としたときの“じゅっ”、という音とともに2人の顔とさよならできた気がした。
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