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見ているから分かる。
知りたいと思うから気が付く。
……様々なこと。
先生の元に来る人は生徒に限らず、
寧ろ先生や保護者と思しき人だったり
何かの関係者か見たことがない大人の女性の方が
多いかもしれないということ。
そんな人達に先生は驚くほど
躊躇く簡単に誘いに乗るってこと。
まるで誰であろうと構わないと言った感じで。
そこまでなら単に女性好きでだらしない人で終わるけど
先生の場合……そこから続きがある。
決まって短いスパンで先生は自ら別れを切り出す。
別れを告げる言葉はいつも辛辣極まりなかった。
相手を絶望と落胆に追い込む鋭利な言葉を選び
あの時と同じ、鮮やかに微笑みながらその言葉を囁く。
目の前で泣き崩れていく姿を
先生が見て微笑む、あの顔を……
何度みたことだろう。
皆が憧れるあの人とはまるで別人。
全てが正反対。
更に、もう一つ。
生徒の告白には絶対に応じず必ずその場で断る。
ただし、大人相手とは違い決してキツイ言い方はしないだけ。
意味が分からない。
どっちが本当に先生の“顔”なのか。
「何故、生徒には応じないんですか?」
「っていうか一応好きだから付き合うでしょ?
なのになんですぐ……あんな言い方で別れたりするんですか?」
私は積もりに積もった知りたいという欲求を押さえきれず、
つい迂闊にも先生を前にしてソレを口にしてしまった。
……三塚の核心に抵触するとも知らずに。
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