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「はぁ~~~~~」
三塚先生が盛大な溜息を付いた。
そして、今にして思えば
それは全く予期しない方向へと変貌する合図だった。
先生は前の椅子を音を立てて引っ張ってくると
私と向かい合う形で跨いで座った。
「流石に生徒には手を出さねぇよ。
後々面倒くさいだろ」
その口調はガラリと変わっていて
一瞬耳を疑う程だった。
「……え?」
不意に聞こえた声に驚いて見上げた顔は、
今までのやさしく穏やかな三塚センセイからは
想像もできないほどの見たことも無い冷たい表情で、
片肘を付きゆっくりと私の髪を梳い上げた。
「質問のResponse」
……薄っすらと微笑みを浮かべながら。
「どういう意味ですか?」
「は?分かんねぇの?
ガキは嫌いだしお守りは面倒だって言ったんだよ。
お前、頭悪いな」
ダ……レ?コノヒト。
「何が目的だ?何を嗅ぎまわっている?ストーカー」
「ス、ストーカーじゃありません!!
神谷……先生の件で気になって見てただけです」
「あ、そう。
で、もう気が済んだか?」
「……三塚、先生ですよね?」
「なんだ、目も悪いの?
お前には何度も見られちまってるからな。
取り繕うのもいい加減メンドーになってきたんだよ」
そういう声色も聞いたこと無くて
私がバカみたいに呆けてると、
「てかさ、好きって何?」
「何って……」
「俺、もともと恋愛とか全く興味ねぇしな。
そういう感覚が分んないって言った方が良いか」
「感覚が……ない?」
その言葉は私にとって刺さるものがあった。
「ああ、生まれてこの方
誰かを好きになった事なんか一度も無い」
「…………!」
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スター特典にて
このエピソードの三塚のイラストをUPしています。
特典の性質上、
すぐに閲覧出来なくて申し訳ありませんm(__)m
気長に暇があったら
見てみようかな程度で
宜しくお願い致します。
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