241人が本棚に入れています
本棚に追加
「感覚がないってどういうことですか?」
それは誰に対する問いなのだろう。
その理由が分かれば私の答えも……
先生は面倒くさそうに小さく溜息をつくと
頬杖を外してニヤリと口元を歪めた。
「な……頭の悪いお前でも分かるような
面白い話を聞かせてやろうか」
抑揚すら感じられない声で話し出したソレは
まるで子供に絵本でも読みきかせるような
語りで始まった。
「昔々あるところに男の子がいて、
その子は魔女と一緒にすんでいました。
その魔女は色んな人間を追いかけては夢中になり
人間と仲良くしている間は
男の子のことなどすっかり忘れていました。
でも、
その人間が魔女を捨て別の所に行ってしまうと
まるで突然存在を思い出したかのように
その男の子のところに来ては
自分の感情を怒り狂ったようにぶつけるのでした。
それは魔女が別の人間を見つけるまで執拗に続きました。
そして、またその人間が魔女の元を去ると
同じように男の子を傷つけるのです。
男の子は魔女のことが
怖くて怖くて仕方がありませんでした。
最初のコメントを投稿しよう!