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「感覚がないってどういうことですか?」 それは誰に対する問いなのだろう。 その理由が分かれば私の答えも…… 先生は面倒くさそうに小さく溜息をつくと 頬杖を外してニヤリと口元を歪めた。 「な……頭の悪いお前でも分かるような 面白い話を聞かせてやろうか」 抑揚すら感じられない声で話し出したソレは まるで子供に絵本でも読みきかせるような 語りで始まった。 「昔々あるところに男の子がいて、 その子は魔女と一緒にすんでいました。 その魔女は色んな人間を追いかけては夢中になり 人間と仲良くしている間は 男の子のことなどすっかり忘れていました。 でも、 その人間が魔女を捨て別の所に行ってしまうと まるで突然存在を思い出したかのように その男の子のところに来ては 自分の感情を怒り狂ったようにぶつけるのでした。 それは魔女が別の人間を見つけるまで執拗に続きました。 そして、またその人間が魔女の元を去ると 同じように男の子を傷つけるのです。 男の子は魔女のことが 怖くて怖くて仕方がありませんでした。
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