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男の子はどんなに怖くても悲しくても とても小さい子供だったので 誰かに助けを求める方法が分かりません。 それでもある時やっとの思いで 人間に”助けて”と言えたのです。 ですがその人間は見てみ見ぬフリをして足早に 逃げてしまいました。 男の子はその時、知りました。 他人に助けを求めることは無駄なのだと。 そして次第に”し”を覚悟するようになりました。 そんなある日、魔女は自分の気に入った人間が いなくなってしまう原因は 全部男の子のせいだと思ったのです。 『お前なんか生まれて来なかったらよかったのに』 と、背中に魔女の鋭い”つめ”を突き立てました。 何度も何度もです。 意識を失った男の子は たまたまその日やってきた人間に発見され 近くの病院という所で ”手術”をし、ようやく助かりました。 少年は意識が戻った時 魔女の事が怖くなくなっていました。 いえ、どうでも良くなったと言った方が 良いのかもしれません。 いつしかそんな感情すら無くなっていたのです。 愚かな魔女は”とくべつなびょういん”に入り それ以来少年は魔女と会うことはありませんでした。 めでたしめでたし」
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