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突然、自分の名前が出たたことで
戸惑っている私に気付いたのか、
何時の間にか傍に来てたお父さんが、
(大丈夫、大丈夫。
お母さんと醒君なら。
ここで一緒に最後まで話を聞いていよう)
と、小さな声でニコニコしながら頷いている。
「娘を日の当たる場所に連れ出して頂き、
ありがとうございます」
お母さんは徐に先生に頭を下げた。
「いえ、俺は何もしていません。
……その雨音に前を向いて生きろと言われたくらいです」
途端、お母さんは破顔した。
「アラアラ、なんてことを、ふふ」
「その時は、その意味がよく分かりませんでした」
「今は……少しは分かったんですね」
「…………いえ、どうでしょう、
分かったんでしょうか」
先生は自嘲気味に笑った。
「何時かその答えを貴方達の子供が
教えてくれるかもしれませんね」
「…………そう……なんでしょうか」
ええ、きっと。
そう言ったお母さんは
満面の笑みを浮かべていた。
「ね、醒さん。
手の掛かる雨音がもう一人増えると思ったらどうです?」
「……!」
「きっとあの子の事だから相当な親バカになって
暴走するでしょう。
その時、醒さんが冷静に対処してくれれば助かります。
それでも困ったこと、迷うことがあったら
遠慮なんかしないで、
どんどん私達も巻き込んで下さい。
可愛い孫に協力は惜しみませんよ」
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