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「え?!えと……」
妄想の真っ只中に突然ふられて
しどろもどろになってると
通り道を挟んだ隣の席から
丸められた小さい紙が飛んできた。
少しだけ視線を向けるとその人物は
確かの隣のクラスの……
えーっと誰でしたっけ??
その人は戸惑ってる私に
ジェスチャーで中を見ろっていってるみたいで。
「……ゲーリュサック」
「ハイ、正解。
教える人は次からもっとさり気無く
出来れば僕に気付かれないよう上手くやって下さい」
三塚の軽い注意に教室が一斉に沸いたとこで
タイミング良くチャイムが鳴った。
「今日はここまで。
試験近いから皆さん勉学に励むように。
他の教科は兎も角、科学だけは満点を取って下さい」
そういって三塚が教室を出ていった。
結果見つかったけど
助けて貰ったお礼は言っとくべきだよね。
教室を出て渡り廊下の前を行く
名も知らぬ彼を捕まえ、
「あの、さっきはありがとう」
と頭を下げた。
その声を掛けた彼は私に
歯をチラリと覗かせた笑顔で、
「いや、こっちこそバレちゃってゴメン」
うわ……初めて話したけど
なんだか爽やか系だ、この人。
恩着せがましさは皆無で、
本当に申し訳なさそうに謝ってくる様に
ちょっとだけ親しみを覚えた。
「と、とんでもない。
私がぼんやりしてるのが悪いんだから
本当にごめんなさい」
もう一度下げた頭をあげると
彼は少しだけ不思議そうな顔をしていた。
でもすぐにまた眩しいくらいの笑顔で、
「……誰でもそういう時あるよ。
気にしないで、じゃあ」
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