VS.シャグラン&ティブロン①

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 姿を隠すには十分な深さまで潜ったサメの背に、いつの間にか男が立っていた。 「思ったよりも歯応えがありそうな連中だな。俺の名は、シャグランだ。今日は獲物がいっぱいだぜ、ティブロン。遠慮なくやっちまえ――」 「うまそうなのがいっぱいだァ」  ティブロン、そう呼ばれた人食いザメは、水も陸も気にせず縦横無尽に動き回る。  シャグランも、信じられない身体能力で、サメの背に立ち続けていた。  バズとアウラが、子どもたちを安全な場所へ避難させて戻ってくる。 (むリむリむリ、あソこマでイけナいッてバ)  その間にメルは、次の矢をシャグラン目がけて放っていた。  それに気付いて水中に飛び込んだシャグランは、次の獲物を見つけて狂喜する。 「ティブロン、行くぞ。舟で来るとはいい度胸だ。死にに来たようなもんだからな!」  フロールたちの乗った無防備な舟が、こちらへ向かって近付いてきていた。 「まずい――舟が狙われる!」 「泳いで行くしかない。助けるんだ!」  バズとメルは、迷わず湖へ入った。 「ストラール、お願い――二人を――みんなを、守って!」 「ワシに任せとけー」  アウラは、激しさを増す波の行方を、ただ見つめるしかなかった。  シャグランとティブロンは、バズとメルが湖に飛び込んだのを確かめて、不敵な笑みを浮かべた。  二人は、この瞬間を待っていたのだ。 「地獄を見せてやるぜ」 「馬鹿なやつらだァ」  ティブロンの背に立ったシャグランが、大きくジャンプする。  それを合図に、ティブロンは体を反転させ、尾びれで湖面を薙ぎ払った。  瞬く間にその前方が凍り付いていく。  その氷の波は、バズとメルに容赦なく襲いかかった。  やがて、二人はなすすべもなく厚い氷に囚われた。  再びティブロンの背に降り立ったシャグランが、凍り付くような冷たい声で告げる。 「ジ・エンド――」
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