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サメを相手に、湖では圧倒的に不利――。
しかも予想外なことに、敵は陸上さえも自由自在に動き回り、自由自在に氷も生み出した。
だから、フロールは考えた。
フムスをサメの口の中へぶん投げるという、悪魔の作戦を――。
フムスが流すであろう涙? いや……鼻水? よだれ?
それらを使って、フムスを包み込むように球体のシールドを展開する。
そして、サメの体内でシールドを一気に巨大化させる。
それはやがて、防御のための盾ではなく、サメを内側から破壊するための恐ろしい武器となる。
男の子の水風船を、アウラが誤って爪で破裂させたのを見て、フロールはこの作戦を思いついたのだ。
「ひどいフム――黙ってるなんて、あんまりフム……」
「ごめんね、フムス。でも、敵に気付かれないようにするには、こうするしかなかったの」
フロールが、本当にすまなそうな顔で謝る。
「ワシも、さすがに驚いたものじゃ」
「フムス、頑張ったからヴィオが好きなもの買ってあげるね」
「フムフム! うれしいフム~。それならやっぱり、ヒマワリの種がいいフム!」
「そうだ、二人を助けなきゃ」
フロールが辺りを見回すと、あれだけあった氷は、シャグランたちを倒したことでほとんど消え失せている。
砂浜には、あの姉弟と一緒に手を振っているメル、バズ、そしてアウラの姿が見えた。
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