VS.シャグラン&ティブロン②

3/4
前へ
/129ページ
次へ
 サメを相手に、湖では圧倒的に不利――。  しかも予想外なことに、敵は陸上さえも自由自在に動き回り、自由自在に氷も生み出した。  だから、フロールは考えた。  フムスをサメの口の中へぶん投げるという、悪魔の作戦を――。  フムスが流すであろう涙? いや……鼻水? よだれ?  それらを使って、フムスを包み込むように球体のシールドを展開する。  そして、サメの体内でシールドを一気に巨大化させる。  それはやがて、防御のための盾ではなく、サメを内側から破壊するための恐ろしい武器となる。  男の子の水風船を、アウラが誤って爪で破裂させたのを見て、フロールはこの作戦を思いついたのだ。 「ひどいフム――黙ってるなんて、あんまりフム……」 「ごめんね、フムス。でも、敵に気付かれないようにするには、こうするしかなかったの」  フロールが、本当にすまなそうな顔で謝る。 「ワシも、さすがに驚いたものじゃ」 「フムス、頑張ったからヴィオが好きなもの買ってあげるね」 「フムフム! うれしいフム~。それならやっぱり、ヒマワリの種がいいフム!」 「そうだ、二人を助けなきゃ」  フロールが辺りを見回すと、あれだけあった氷は、シャグランたちを倒したことでほとんど消え失せている。  砂浜には、あの姉弟と一緒に手を振っているメル、バズ、そしてアウラの姿が見えた。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加