VS.シャグラン&ティブロン②

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VS.シャグラン&ティブロン②

「いやーーーっ!」  生きながら氷像と化したメルとバズを見て、フロールが泣き叫ぶ。 「こ、こんな……ことって」 「まずいフム、大大大ピンチだフム!」 「頼りの男どもは、あっけなく死んじまったな」 「自分から水に入ってきたからだよォ」  氷の波の上を滑りながら、氷像となり果てたメルとバズのもとへ二人は辿り着く。  そして、馬鹿にしたように、メルやバズに蹴りを入れたり、尾びれで叩いたりしてみせる。 「ワシがなんとかしてみせるんじゃ」  そんな二人を気にせずに、ストラールが何度も上空から急降下し、くちばしや爪で氷を砕こうと試みる。  しかし、全く歯が立たない。 「今助けに行くわ」  アウラも、メルとバズの所へ向かおうと、凍った湖の上を必死に進んでくる。  何度も、何度も、転びながら。 「やめとけ、やめとけ、無駄なあがきは。この辺りの氷は、俺らが死なない限り、永久に凍ったままさ」  泣いていたフロールが、シャグランの言葉に反応する。  ――俺らが死なない限り、永久に凍ったままさ。 「!」  つまり……あの二人を倒せば、メルとバズを救い出せる! 「今度は、私が助ける番よ――」  フロールの目に、もう涙はなかった。  その目は、希望に満ちている!   「そろそろ終わりにするか、ティブロン」 「食べるならやっぱり女ァ」  氷像いじりに飽きた二人が、湖に飛び込む。  狙いはもちろん、フロールたちの乗った舟だ!  舟の上では、フロールがヴィオに何やら耳打ちをしている。 「でも……それでは……」 「私を信じて、ヴィオ――あなたなら、きっとできるわ!」 「どうする気だフム!」  新たな獲物に向かって猛スピードで泳いでくるティブロンとシャグラン。  迷っている時間など、もう、ない。
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