現実その5(海羽目線)

1/1
前へ
/59ページ
次へ

現実その5(海羽目線)

目覚めるとまたいつもの日々が始まる。 まひろは結婚式の後から産休に入ったから会社にはいない。 だから結婚式の帰りに透羽さんに会った話もできずにいた。 電話して報告することでもないと思ったし・・・。 「真野さん。まひろさんお休みはいっちゃたから淋しいでしょう」 先輩の池内 加奈(いけうち かな)さんが声をかけてくれた。 「そうですね。でも赤ちゃん産まれるのも楽しみですよ」 「そうね。それはそうと、この前の結婚式みたいにメイクはもうしないの? 男性陣も騒いでたのに」 「メイク面倒ですもん。これが私ですよ。こんな私がいいって人が いればいいんですけどね」 「もったいないなあ」 「そんなことないですよ。無理は禁物です」 とデスクに戻った。 いつの間にか、淋しくなったり、しんどくなったりすると洋服の中に隠れているネックレスを触ってしまう癖がついてしまっていた。 今野が出張だから、まひろの家へ遊びにいった。 「海羽ーーー会いたかった」 「まひろーーどう?体調」 「この通り。元気だよ。赤ちゃんも元気だって」 「よっかったあ」 「最近どう。」 「まひろがいないから忙しいよ。」 「ごめんね」 「うそうそ、大丈夫だよ。仕事のことは気にしないで元気な赤ちゃん 産んでね。みんな楽しみにしてるからね」 「ありがとね。で、男の方はどうなの?」 「男って・・・なんにも・・・な・・く・・・も・・なかった・・・」 「えっホント?いつ?」 「まひろの結婚式の帰りに、偶然ホテルで遭遇したの」 「うっそー。すごいじゃん。で!」 「で・・・。また朝まで一緒で・・・逃げてきた」 「なんでよー。やっと会えたんじゃ」 「でもさあ、またシンデレラの時だよ。」 「そうだけど・・・。朝まで一緒にいたんでしょ? そういうことしてもいいって思ってしたんでしょ? 相手の人もかわいそうだよ・・・。」 「私の事好きかどうか分からないよ・・・」 「気になってなかったら、追いかけてこないじゃん。 初めてあってから何か月経ってると思ってんの?そんなワイルドイケメン だったらもう彼女の1人や2人いてもいいのに」 「いなくなったのが許せなかっただけかもしれない」 「海羽・・・。海羽はその人とどうなりたいの?」 「どうって・・・」 「もう会いたくない?」 「・・・・」 「もしまた会ったらどうする?またHだけして帰ってくるの?」 「・・・・」 「海羽?」 「気にはなってるよ。私だって初めて会った人と簡単にHなんて しないよ。でも外見が好きって言われたんだよ。朝起きて顔が違って 無理とかいわれたらさ・・・」 「顔が違ってって・・・そのままの海羽をみてもらったらいいじゃない」 「もし次会えたら、自分の気持ちを伝えようよ」 「う・・・・ん考える」 まひろの家から帰って、一人になっていろいろ考える。 透羽さんにもし会えたら・・・今の私に気が付いてくれたら 気持ちを伝えようかな・・・・。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加