現実その5(透羽目線)

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現実その5(透羽目線)

また時間に追われる日々が始まる。 唯一ゆっくりできるのはやはり幸太郎のところ。 「透羽。一緒していいか?」 「颯真か。」 「透羽、元気?」 「そこそこな。てかお前久々だな」 颯真の彼女で俺たちの大学から一緒の斉藤 奈菜(さいとう なな) が付いてきていた。 「お前に報告したいことがあって」 「なんだよ」 「俺、奈菜と結婚することにしたから」 「そっかあ」 「そっかあって、透羽ーーおめでとうでしょ?普通。 大事な友達が結婚報告してるのにーまったく」 「相変わらずうるさいやつだな」 「相変わらずって失礼なヤツ」 「颯真さん、奈菜さん、何か飲まれますか?」 「ありがとう幸太郎」 「幸太郎君は優しいね。誰かさんとは大違い」 「はいはい。すみませんね」 俺は飯を食いながら、颯真と奈菜は酒を飲みながら 久しぶりに盛り上がった。 「透羽は、彼女いないの?」 「いないが、気になっている女はいる。」 「ウソ。どんな人?」 「ステキな方でしたよね」 「幸太郎よけいなことは言わなくていい」 「このお店に連れてきたの?」 「本命だな。」 「で、どこの誰なのよ」 「分からない。名前しか知らない」 「は?何それ」 「たまたま、お店に来られた方で」 「幸太郎」 「失礼しました」 「お前に落ちない女がいるんだな。」 「うるさい」 海羽の事を根掘り葉掘り聞かれるのはうんざりだ。 「俺は帰る。またな」 と俺は店をでた。 「透羽」 俺の後を奈菜が追いかけてきた。 「本気の恋愛しなよね。後悔しないようにね。」 「へいへい」 奈菜が店に戻ろうとしたから、 「奈菜。ありがとうな」 「はいはい」 奈菜は俺の母親のようだ。颯真と付き合うまでは接点はなかったが 颯真と付き合い始めてからというもの、俺のやることすることにケチばかり つけてくる。 でも、俺の事を考えてくれているのが分かっているからありがたい。 車に乗っていつもの道を進んでいく。 隣に座っていた海羽を想う。 海羽はなぜ俺から離れる?離れるならなぜ抱かれた? 俺は遊ばれたのか? でも、俺はまた海羽に会いたい。
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