現実その6(海羽目線)

1/1
373人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ

現実その6(海羽目線)

それからしばらくして、社長が結婚することが社内へ発表された。 社内中がお祝いモード。 社員全員が結婚パーティーに参加する事になった。 社長はフランクな方で年に1度、盛大なパーティ-を開いて社員をねぎらって くれているのだが、今回は結婚パーティーも一緒にすることに社員から社長に提案した。 会場は会社の最上階のパーティールーム 社員一同で飾り付けや、ケータリングの受け入れをする。 準備が終わったら、みんなで会場に入ってパーティーが始まるのを待つ。 「それでは、新郎新婦の入場です。」 司会の発声でパーティーが始まる。 扉が開き、社長と社長の婚約者の方が登場する。 「やっぱり、社長かっこいいねえ」 「奥様になる人もキレイな人」 社長の婚約者の人はとてもきれいなひとだった。 あんな人が透羽さんにはお似合いなんだろうなあ。 歓談の途中で、 「社長よりお一言いただきます」 ということになり、社長がステージに上がった。 「みんな今日はありがとう。本来なら僕がみんなに日ごろの感謝を伝える 会なのに僕たちを祝ってくれる会にしていただき、僕はステキな社員に 支えられていることを改めて感じました。本当にありがとう。」 会場中に拍手がなった。それから婚約者の方に手招きをしてステージに 上がってもらって挨拶を促した。 「みなさん。初めまして。斉藤 奈菜です。いつも颯真社長を支えて 頂きありがとうございます。颯真社長と結婚したら私もみなさんと一緒に この会社を支えていきたいと思っています。 颯真社長ともどもよろしくお願いします。今日はありがとうございました」 とても素敵なお2人。時折、顔を合わせて見つめあって。 うらやましいなあ。 また歓談となって、飲み物を取りに行こうとした時、会場の隅にいる 人がいた。 誰だろうと思った時、透羽さんだとすぐ分かった。 なんでここのいるの?同じ会社の人だったの? 5年もいるけど会ったことなんてない。 何で?なんで? 分けが分からなくなって落ち着こうと会場から出ることにした。 トイレにいって、鏡を中の自分をみながら声をかける。 「透羽さんは私には気が付かないんだから大丈夫」 トイレからでた時、会場から透羽さんが出てきてこちらに向かってきた。 どうしよう、どうしよう、と思っているうちに透羽さんが私の横を歩いて 行く。 やっぱり・・・と思った時に、 「海羽なのか?」 と声をかけられた。 「え?」 「海羽だろう?」 声が出ない。何で??わかるの?? 「そのネックレスは俺が海羽にあげたものだ。  世界に1つしかないものらしい・・・君が海羽でないのなら  君が海羽から奪ったことになる」 「・・・透羽さん」 「やっぱり海羽だな。会いたかった」 と私をその場で抱きしめられた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!