現実その6(透羽目線)

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現実その6(透羽目線)

それからしばらくして、颯真から連絡がきた。 「会社のパーティーが結婚パーティーになった」 「そうか。お前も出席しろよ。」 「なんで??」 「副社長だろう」 「俺の事は公になっていないだろ」 「まあ。気晴らしに参加しろよ。奈菜もそういってるから」 と半ば無理やり参加させられた。つまらないパーティーだ。 会場のライトが消えた頃、こっそり会場に入って会場の片隅に陣取る。 「それでは、新郎新婦の入場です。」 司会の発声でパーティーが始まる。 扉が開き颯真と奈菜が登場する。 俺も海羽と一緒に・・・。 歓談の途中で、颯真と奈菜が挨拶をする。 本当にあいつらには幸せになって欲しい。 また歓談の時間になったから、俺は会場をでて喫煙所にむかった。 喫煙所の方から女が歩いてくる。 なぜかその人に何かを感じた。 すれ違う時に、シャツの間から見たことのあるネックレスが目に入った。 「海羽なのか?」 と俺は声をかけた。 「え?」 この声・・・ 「海羽だろう?」 彼女はただ黙って立っている。 「そのネックレスは俺が海羽にあげたものだ。  世界に1つしかないものらしい・・・君が海羽でないのなら  君が海羽から奪ったことになる」 その言葉を聞いたからかどうかじゃ分からないが、小さな声で 「・・・透羽さん」 と俺の名前を彼女はつぶやいた。 「やっぱり海羽だな。会いたかった」 と俺はその場で海羽を抱きしめた。
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