始まりその2(海羽&透羽)

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始まりその2(海羽&透羽)

PIPIPI・・・・・携帯のアラームが鳴る。 「ん・・・」 と携帯を探そうと思ったら体が動かない。 目を開けると透羽さんの抱き枕になっていた。 「透羽さ・・・ん。朝ですよ。起きてください」 「う・・・ん?みうがキスしてくれたら起きてもいいよ」 この人は大人なんだか子供なんだか・・・。 仕方がないなあと、ほっぺたにキスをした。 「そこは唇にキスだろ!」 と急に私の唇にキスをした。フレンチなキスからだんだんと濃厚な キスに変化していく。 息ができない・・・。 「そんな顔をするな。このまま襲いたくなる。」 と私から離れてベッドルームから出ていく。 私は体の力が抜けてしまっていた。 透羽さんのキスは私をとろけさせる魔法のKISS。 しばらくすると、いい匂いがしてきた。遠くから 「みうー。朝飯にするからこっちにこい」 と透羽さんに呼ばれる。私は、何とかベッドから立ち上がり リビングへ向かった。 そこには、スクランブルエッグとトーストがあった。 「コーヒー飲むか?」 「私、コーヒー飲めないんです」 「そっか。次は気を付ける。オレンジジュースがあったと思う」 と冷蔵庫からオレンジジュースを持ってきてくれた。 「ありがとうございます。」 「敬語はやめよう。恋愛をするなら。俺と海羽は同等だし、敬語を 使われると距離を感じる。」 「もし社内で会ったらどうしたらいいですか?」 「会うことはほぼないと思うが、普通にしていればいいんじゃないか」 「俺は海羽が好きなのを全開にするけどな。食べ終わって準備出来たら 会社まで送っていく。今日は別の仕事もあるから、そっちに行くのは午後に なると思う。仕事が終わったら、幸太郎のとこで飯を食おう。」 「分かりました」 と私は、食べたものを片付けて持ってきた洋服に着替える。 洗面所で軽くメイクをして完成。 「海羽は、メイク映えする顔なんだな。完璧メイクは俺の前だけにしろ」 「え??」 「まあいい。じゃあ行くか」 と透羽さんの赤い車に乗って会社に向かった。 会社について、助手席から降りようとした時にふと腕を掴まれて キスをされた。 「また後でな」 と私を降ろして車は走り去っていった。 「真野?」 声の方に振りかえると、今野がいた。 「今野。おはよう」 「おはようって今の誰だ?」 「え・・・と・・・・。恋愛を始めようと思って・・・」 「新しい男か?」 「・・・・多分」 「多分ってなんだよ」 「そのうち、話すから、じゃあね」 とその場から私は走りさった。 *********************** 海羽と一緒に朝を迎えて、一緒に朝飯を食って、会社へ送っていく。 海羽といると落ち着く。片時も離れていたくない・・が、今日は別の 仕事があるから午後からしか海羽の会社には出社できない。 車から降りようとする海羽の腕を思わず掴んでしまった。 俺の事を忘れないようにと願ってキスをする。 離れるのが名残惜しい・・・。ミラー越しに男と話しているのが目に 入る。あいつは誰だ! 早く、仕事を終わらせて出社しよう。 俺は急いで車を目的地へ走らせた。 ********************** 仕事をしながら、透羽さんの事を考えている自分がいる。 会ったのはたった3回なのに、透羽さんといるとドキドキが止まらない。 心配してくれてた、まひろに報告しなきゃな。 今野に会ってしまったから、早めにまひろに伝えに行かなきゃ。 と思っていたら携帯にメッセージ。 『今、出社した。』 透羽さんからだ。 『お疲れ様です』 『俺の部屋に来てくれ』 『用事がないのに、副社長室にはいけないですよ。仕事が終わったら 連絡します』 透羽さんは自分に正直な人だなあ。起業するくらいだから行動力は あるんだろうけど、今まで周りにはいない男の人。 ********************************** コンコン 「はい」 「透羽。お疲れ、打ち合わせどうだった?」 「いい感じだった。」 「そうか。で、昨日は彼女をどうしたんだ?」 「俺の部屋に連れて帰った」 「行動が早いな。」 「初めて会った日も、俺の部屋に連れて行ったが」 「初めての女を自分の部屋に連れていくのは珍しいな。 やっぱり本命なんだな。」 「手放したくない」 「よかったと。お前にもそういう相手が見つかって」 「自分が見つかってるからか?」 「奈菜も喜んでたよ。」 「俺の事はどうでもいいから2人は勝手にいちゃいやしてろ!」 「はいはい。そのうち4人で食事でもいこうな」 「海羽の心も体も俺のものにしたらな」 「早めに誘われることを祈ってるよ。じゃあ、打ち合わせの方は 今後も頼んだよ」 と颯真は俺の部屋から出ていく。 会社について海羽にこの部屋に来るようにメッセージを送ったが拒否された。 まあ、仕方ないか・・・。早く時間が過ぎて欲しい。海羽に会いたい。 *************************** 定時が過ぎてしまった。もう少し仕事をするようだなあ。 「真野君、今日中になんとかなりそうかな?」 「はい。もう少しで終わります。これが終わったら帰りますので 課長はご家族のところへいってあげてください」 課長は単身赴任中で、毎週末にはご家族のところに帰っている。 透羽さんに連絡しなきゃ。 『少し残業になります。大丈夫ですか?』 『駐車場にいるから、終わったら連絡をくれ』 『了解しました』 待っててくれてるから早く終わらせよう。透羽さんに会いたい気持ちが 仕事を捗らせてくれる。 1時間ほどして終了。急いで片づけをする。 『今、終わりました』 『地下駐車場にいる』 『今から向かいます』 お待たせしちゃたなあ。怒ってるかなあ。 エレベーターの降りる時間が長く感じる。地下駐車場について 赤い車を探す。車のライトが私を照らす。 助手席側の窓が開く。 「お疲れさん」 「すみません。遅くなりました。いっぱい 待たせちゃいましたよね?」 「仕事なんだから仕方がないだろう。週末は一緒にいられるからいい。 早く乗って、飯を食いに行こう」 「はい。」 と助手席に乗り込む。最初に会った時の駐車場からあのBARへ向かう。 「いらっしゃいませ。透羽さん。」 とイケメンのバーテンダーさんが声をかける。そして私に目を向ける。 「こんばんは。透羽さん会えたんですね。よかったですね」 と私たちに声をかけた。 「まあな。何か適当に出してくれ」 「はい。アルコールはどうしますか?」 「今はいい。帰りに持ち帰りたいからあとで探してくる」 「分かりました。ところで、苦手なものやアレルギーはありますか?」 「ないです。」 「了解しました。」 とバーテンダーさんはカウンターの奥へ移動した。 「あいつは川相幸太郎、俺たちの大学の後輩だ。ちなみにここは 俺の店。で幸太郎に店は任せている」 「そうなんですね。」 「敬語はやめてくれといってるだろ」 「急には無理ですよ」 「まあいい。ちょっと待っててくれ」 と透羽さんは席を立ってどこかにいってしまった。 その間に、幸太郎さんがいろいろ食べるものを持ってきてくれた。 「先に召し上がってください。 「ありがとうございます。いただきます。」 「透羽さんのあんな優しい顔を初めて見た気がします。また 出会えてよかったですね。透羽さんも海羽さんも」 「私の名前・・・」 「透羽さんが、よく口にされていたので」 「そうなんですか?」 「ええ。探されてましたよ。付き合い長いですけど初めてみましたよ。」 「颯真社長にも奈菜さんにも似たようなことを言われました」 「お2人に会ったんですね。」 「実は、私は颯真社長の会社で働いていて・・・」 「いろんな偶然が重なったんですね。」 「はい。あの時は自分に自信がなくてつい真っすぐな透羽さんから 逃げ出してしまって・・。後悔してたので、また会えてよかったです」 「また、お2人で来てくださいね。」 「ありがとうございます。」 お酒の瓶を何本か持って透羽さんがやってきた。 「なんの話だ?」 「またお2人できてくださいと言っていたところです」 「そうだな。幸太郎の作るものはうまいだろ?」 「はい。とても!」 「そろそろ客が来る時間だな。幸太郎、テイクアウトしてもらえるか?」 「了解です。今準備します。」 とまた幸太郎さんはカウンターの裏へ移動した。 そして紙袋を透羽さんに手渡した。 「じゃあまたな。幸太郎」 「はい。また来週ですね。海羽さんもまたいらしてくださいね」 「またきます。友達も連れてきてもいいですか?」 「ぜひいらしてください」 とBARをあとにした。透羽さんが紙袋を2つ持っていたので 「どっちか持ちます」 と声をかけた。 「そうか。じゃあこっちを持ってくれ」 と1つの袋を渡してくれた。 空いた方の手を私に差し出して、私の手を取った。 恥ずかしかったけど、嬉しかったからそのまま歩いた。 そんな私たちを遠くからみる人影に気づくことなく・・・・。
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