出会い(透羽目線)

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出会い(透羽目線)

高科 透羽(たかしな とうわ)30歳 今日も行きつけのBARで飯を食う。 隠れ家的なこのBARは俺の店。一応、いろいろな会社を経営している。 分刻みのスケジュールなので、のんびりしたくて毎日ここで飯を食う。 そこに店の扉が開いた。この時間に客がくるのは珍しい。 「いらっしゃいませ」 バーテンの川相 幸太郎(かわい こうたろう)が客に声をかける。 「初めての方ですね。」 珍しいと思ったら初めての奴か。 「初めてでも大丈夫ですか?」 女か?幸太郎は俺をみた。まあいつもはこの時間は俺タイムだからな。 でも収益もだいじだからとOKした。 「どうぞこちらへ。」 と幸太郎が俺から離れた席に案内した。 ちらっとみると、髪の長いスラッとしたスタイルで俺好みの女だった。 というか、今までの女に感じなかった何かを感じた。 しばらく、幸太郎との会話を聞いていると、 「何を飲まれますか?」 「えっと・・・。すみません。お酒にあまり詳しくなくて・・・」  思わず吹き出してしまった。  ヤバイ睨まれた。 「よかった。ステキなあなたをイメージしました」 幸太郎。口説いてんのか!! 「お世辞だよ」 ヤバイ。また睨まれた。 「透羽(とうわ)さん・・・失礼でしょう」 幸太郎にしかられる。 「すみませんね。あの方はここの常連さんなんですよ」 「いえ。大丈夫です。もう1杯いただけますか?」 「かしこまりました」 結構飲んでるけど、大丈夫なのか? 「大丈夫ですか?お水飲まれますか?」 幸太郎よく気が付いたな。 「・・・今日、私の誕生日なんです。ずっと友達にお祝いされてて・・・  ステキな出会いってどこかにないですかね・・・」 マジか。俺もしばらく出会ってねえなあ。 これが出会いか? 「え?・・・あの・・・お手洗いはどこですか?」 「あちらです」 「ありがとうございま・・・」 立ち上がうとしたらふらついたから思わず、支えてしまった。 「飲みすぎだよお前」 「すみません。もう大丈夫です。」 大丈夫には見えないだろ。 「大丈夫なので、離してください」 ここで手放したらなぜかいけない気がした。 「俺と恋愛してみるか?」 と言ってしまった。面食らった顔をしている。 「初めて会った人と恋愛なんてできません。」 まあ、そうだろうね。 「出会いなんて待ってたってこない!」 俺にも言えること。 少し怒っている感じがする。 「俺と朝まで一緒にいたら俺と恋愛したくなるかもよ」 「朝までって・・・。」 俺は何を言ってるんだ。でも離してはいけない気がしてならない。 「いい女だよお前。何で出会いないんだよ」 何で相手がいないんだ? 「また店にくるか?」 「それは・・・分からない。」 ならなおさらだな。 「じゃあ。やっぱり声掛けてよかった。お前が店に入ってきたとき  から俺の物にすると決めていた」 「は??馬鹿にしてましたよね」 やっぱり怒ってたか・・・・。 「違うよ。話を聞いてたら可愛くて」 素直にかわいいといってしまう。今まで女に自分からかわいいなんて いったとなんかない。 「どうする?俺と恋愛する?」 普通、急にこんなこと言われたら、怪しいし、引くよな・・・。 「何?」 何かいってたけど、聞き取れなかった。 また会えたらいいな。 「・・・恋愛して・・・み・・・ま・・す」 は?なんて言った?ヤバイ嬉しくてにやける。 気が変わらないうちに行こう! 「よし。行こう。幸太郎。またくるよ。」 「はい。お待ちしています。」 俺は、彼女をエスコートして店をでた。 車まで歩く途中で、腰に置いている手を離してくれと言われたが、 「なんかこの手を離したらお前どっかいきそうで」 俺らしくなく、不安で手を離せなかった。 何度か断られたが、とにかく離したくなかった。 「分かりました」 根負けしたのか了承してくれた。 「さあ。乗って」 彼女を助手席に座らせる。 「どこに、行くの?」 「俺の家」 「家?」 引かれたな。まあそうだよな。初めて会った男の家にって。 「そう。ホテルの方がいい?」 「俺を知って欲しいから、家の方が手っ取り早いだろ」 俺ってこんなキャラだったか? 「あっ。名前。あなたは、名前も知らない人と恋愛する気なんですか?」 と思わず吹き出してしまった。 確かにそうだよな。自己紹介する余裕すらなかった。 でも笑った顔が見た目のクールさとは違ってかわいかった。 「あの・・・。名前教えてください。」 「俺は、透羽。高科 透羽(たかしな とうわ)歳は30歳  仕事は、サービス業かな」 実業家?なんかだよな。サービス業でも間違ってはいない。 「私は・・・海羽です。今日で25歳」 ミウかあ。25歳、5つも下なのか。 「誕生日かあ。で、おめかししてBARで1人でお祝いかあ。」 誕生日に1人って、なぜだ? 「友達にお祝いしてもらった、帰りです。ステキな雰囲気のお店だったから」 友達って男か?女か?彼氏??でも彼氏だったら俺の誘いにはのらないよな。 「ふうん。名前どういう字書くの?」 「海に羽です。」 うみにはねかあ。はねが一緒だ。なんかやっぱり運命感じる。 マンションについて 「適当に座って」 といったら動けずにいた。この家が引かれたか?ホテルのほうがよかったか? 「ソファーに座ってて」 不安そうにソファーにすわった。そうだよな。 「何か飲むか?ってか、もうちょっと飲まないか?」 「・・・じゃあ少しだけ。」 よかった。 とスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを緩めて ダイニングテーブルに置く。 キッチンからシャンパンと2人分のグラスとつまみをだした。 「海羽は仕事なにしてるの?」 海羽って呼んだけどよかったか?女慣れしてるように思われたか? 「事務やってます」 事務かあ。 「高科さんは、なんで私に声をかけたんですか?」 「透羽でいいよ。」 「透羽・・さん」 さんって。まあいっか。一目ぼれだよ。 「見た目も好みだよ」 少し海羽の顔が曇った気がしたが・・気のせいか・・。 酒が進み、最初は向かい合わせに座っていたが、今は隣に座っている。 ふと沈黙になり、目と目が合う。 「海羽・・・。俺と恋愛しよ?」 なんとか海羽の気を俺に向けたい!! 自然に海羽の唇にキスをしてしまった。 ヤバイ、早すぎた! 「ダメ?」 「私・・・でいい・・ん・・ですか?」 「海羽がいいんだけど?」 俺こんなに甘々な奴だったか?どうかしてる。 海羽が立ち上がった。 「お水もらおうかな」 とキッチンに行こうとしたから、思わず腕を引っ張って後ろから抱きしめて しまった。 「ここにいろよ。どこにもいくなよ。」 「・・・」 「今日出会ったばかりとか関係ない。海羽、俺のものになれ」 照れくさい。でも伝えたい。 俺は海羽の顎に手をかけて俺の方に顔を向けた。 また一瞬沈黙が走る・・・。海羽と目が合った。 「目つぶって。キスできない。それとも目を開けたままキスする?  俺はいいけど」 というと海羽があわてて目を閉じた。可愛すぎる。 俺は今度は海羽の唇に熱いキスをした。 唇を離したくないから何度も何度もキスをする。ふと唇が離れた時には 海羽はトロンとした妖艶な目で俺をみてぐったりしていたから俺は海羽 の体を支えた。 「そんな顔されたら、優しくできる自身ないなあ・・・」 と海羽の耳元でささやいて抱き上げ寝室へ向かう。 寝室の扉を開けて、海羽を立たせてワンピースのファスナーを降ろした。 ワンピースをぬがすと再度、海羽を抱き上げてベットへ降ろす。 俺はYシャツとスーツのズボンを脱いで下着姿の海羽の隣に寝転がった。 海羽が俺の方に体を向けたから無意識に抱きしめて耳元で 「俺の事好きになって欲しい」 と告げた。 「すぐにとは言わない。ゆっくりじっくり俺を知って」 と更に海羽に気持ちを伝え海羽の首筋にキスをする。 俺は海羽の首筋に何度もキスをする。 「跡ついちゃ・・・う」 「つけてるんだよ。俺のものっていうのを忘れないように」 と首筋の次は鎖骨へ胸へと移動しながら、ブラジャーのホックをはずす。 キレイな胸だなあ。大きさも形も俺好み。 「恥ずかしい。そんなこと言わないで」 なんでこんな気持ちになるんだ。俺は。 次に胸のふくらみを確かめながら、先端にも口付けて俺のものという印を いくつもつけていく。 「あっ・・・ン・・ヤダ・・」 我慢している声もたまらなくかわいい。 急に海羽の目に涙がこぼれた。 俺はビックリして動きを止めた。 「どうした?何かいやだったか?やめるか?」 海羽は首をる。 「違うの、初めてじゃないんだけど、こういうことしばらくしてなくて・・ といっても付き合った人も、そういうことした人も1人しかいなくて・・ それがどんなだったかも思いだせなくて、こんなにドキドキしてわけわからなくなってきちゃうから・・・こわくなっちゃって・・・・。 「/////////」 俺は思わず頭を抱えた。 「ごめんなさい。めんどくさい女だって思ったでしょ?」 面倒なんてことはない。本当に面倒な女はたくさんいる。 1人しか付き合ったことなくてそいつとしかしたことないってなんだよ。 なんでそいつに俺は苛ついてるんだ。ガキか俺は。 海羽を快感の世界へ導くべく、胸をさわりながら足元へ移動していく。 そして太ももにも俺の印をつける。 それから久しく誰にも触られていないだろう場所へ触れる。 ふいに海羽の背中がのけ反った。俺はパンティーを脱がし、 さらにそこを攻める。 「も・・うヤメテ・・何も・・考えなれない」 「考えなくていい。俺の事を考えてて。」 「こわいよ。」 怖いよな久々だろうし、なるべく痛みのないようにしてあげたい。 俺はボクサーパンツを脱いで、コンドームを付ける。 「本当はゴムなんてつけたくないんだけどな」 思わず本音が漏れる。普段は絶対にコンドームを付ける。でも 海羽とはずっと一緒にいたいと思ったから生で海羽を感じたいと思った。 海羽の体に力が入っているのが分かる。 緊張をほぐすために俺は海羽のわき腹をくすぐった。 海羽の力が抜けた 瞬間に、俺は海羽の中に入った。 「海羽の中。あったかい。」 とても幸せな気持ちになった。このままでもいいくらいだ。 と思っていたら急に海羽から問われた。 「透羽さん?彼女さんとかいないんですか?」 なぜそう思った? 「彼女いるのに、海羽にこんなことする?」 「そうですけど・・・」 「俺も忙しくて、出会いなかったんだよね。」 「嘘はつきたくないから言うけど、付き合った女はそこそこいた。 でもマジなのはなかった」 正直、この外見のおかげで女に不自由なことはなかったが、 起業してからは忙しかったし、金目当てがバレバレの女ばかりだった。 割り切った関係の女もいたがここ最近は1人でいるのが楽だった。 俺の事を少しは気にしてくれはじめたのだろうか? それから 俺は海羽の中で動き始めるとあっという間に、快楽に溺れていきそうになった。 声にならない声で、俺を求める海羽を愛しいと思った。 「海羽。俺を抱きしめて」 と言うと、海羽は俺を言われたままに抱きしめる。 気持ちいいのか無我夢中で俺にしがみついている。 「好きだよ。愛してる。海羽」 言わずにいられない。 「透羽さ・・・ん。も・・う・・・・」 と一緒に終わりを迎えた瞬間に海羽は意識を手放した。 俺は海羽に腕枕をして眠りについた。 しばらくして、目を覚ましたら俺の腕枕で眠っていた海羽の 姿がなかった。 シャワーでも浴びているのかと、シャワールームにいったがいない。 テーブルにあったはずの、シャンパングラスもつまみの皿もきれいに 洗ってキッチンにしまわれていた。 さっきまでの幸せな気持ちから、一気にどん底に落ちた。 なんで?気持ちが通じたと思っていたのに・・・。 玄関に天使の羽の形のピアスが1つ落ちていた。 「海羽・・・・」 彼女はまるで、シンデレラのように俺の前から姿を消した。
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