日常(海羽&透羽)

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日常(海羽&透羽)

透羽さんと一緒にいるようになって3ヶ月過ぎた頃、社長室に呼ばれた。 コンコン 「どうぞ、入って」 「失礼します」 と社長室に入ると、透羽さんもいた。 「急に呼び出して申し訳ない。2人にお願いがあって」 「なんだ」 「これなんだが・・・」 と颯真社長は1通の手紙を差し出した。 「来週末に父が主催するパーティーがあって、父がぜひ透羽も来てほしいと いっているんだ」 「俺はいかない。お前の親父は苦手だ。すぐ俺に結婚しろと言って勝手に相手を連れてきて強引にどうにかしようとする」 「知っているよ。だから海羽さんに来てもらったんだ。俺の顔を立てると 思ってきてくれよ。父も透羽に恋人がいると分かれば諦めるはずだ」 「海羽が一緒なら俺がいくと思ったのか?浅はかな・・・」 「やはりダメか・・・。」 と颯真社長が落胆していると、部屋の扉が開いた。 「じゃあ、透羽はお留守番よ!奈菜ちゃんは私とパーティーに 行く約束してるんだもの」 と後ろから奈菜さんが私の腕を取った。 「海羽どういうことだ?」 私はわけが分からない。確かに奈菜さんから電話をもらってパーティーが あるから一緒に行こうといわれていたけど、それが颯真社長のパーティー だなんて聞いていない。 困惑する私の顔をみて 「海羽は納得していないみたいだが?」 「透羽さん、パーティーに行くお話したかもです・・・でも何の パーティーかは聞いていませんでした。でも奈菜さんとお会いもしたかった から・・・・詳細が決まったら透羽さんにもお話しようと思ってました」 「・・・・・・・」 「どーするー透羽。ドレスアップした海羽ちゃんをパーティーに 連れて行ったら、会場の男性陣はどうなるかな・・・・」 「奈菜!お前!」 奈菜さんは透羽さんを挑発するのがとても上手だ。 「海羽ちゃん。これから一緒にドレスを選びにいこうねーー」 と奈菜さんはちらちらと透羽さんを見ながらさらに挑発する。 「奈菜。もういいよ。透羽は親友の俺の頼みを聞いてくれない冷たい 奴なんだ。海羽さんも巻き込んで申し訳ない」 と急に颯真社長が諦めモードに入る。 そんな颯真社長と奈菜さんに 「分かったよ。いけばいいんだろ。お前たちには負けだ!」 と透羽さんは観念した。 奈菜さんと颯真社長はハイタッチ。さすが長い年月を透羽さんと 一緒に過ごしているだけあるなあ。 「颯真。親父に俺は恋人を連れていくと先に言っておいてくれ。 海羽に嫌な思いをさせたくないからな」 「もちろんそうする。」 「変な女が嫌がらせとかしたら私がやっつけるよ!」 と奈菜さんが言ってくれた。 「変な男は僕が近寄らせないよ」 と颯真社長。 「その心配はいらない。俺は海羽から離れないから」 「ヤダヤダ。海羽ちゃんもたまには透羽から解放されたいよねー」 と奈菜さんはいう。 透羽さんが私を想ってくれているのが分かって嬉しいから、透羽さんから解放されたいなんて思わない」 「私、小さい頃に両親が離婚してて母が1人で私を育ててくれていたんですけど20歳の時に母が事故で亡くなって・・・その時にお付き合いしてた人が 一緒にいてくれると言ってくれたんですけど、周囲の反対があってお別れして しまいました。それからずっと1人だったので透羽さんが いつも隣にいてくれて嬉しいです。透羽さんに会えたから颯真社長や奈菜さんともお会いできました」 静まり返った部屋・・・しんみりさせてしまった。 涙目の奈菜さんが 「海羽ちゃん。私たちはもう家族も同然よ!なんでも言ってね」 「社長とか関係なく、透羽の恋人として僕も接してもらうよ。」 「ありがとうございます」 私達は社長室をでた。 ******************************* それから俺の荷物をとり副社長室へ。 俺は部屋に入るなり、透羽を抱きしめる。 「生い立ち話すのつらかったろ?」 「お話ししないとと思ってました。」 「海羽・・俺と一緒に暮らさないか?」 海羽はちょっと複雑な表情をして 「私が1人でかわいそうだからですか?」 と言った。俺は思わず 「俺がそんなふうに思っていると思ってるのか!」 と怒鳴ってしまった。気持ちが落ち着けない。 「帰ろう、マンションまで送っていく」 と部屋を出た。 ****************************** 透羽さんが急に怒鳴った。私がかわいそうだからと言ったから? 駐車場まではいつも手を握ってくれるけど、今日は私の前を黙って 歩いていく。 車の中も重い空気、会話もない。 私のマンションの前に着く。 「ありがとうございます。」 「ああ」 冷たい声・・・・。 透羽さんの車が走りだした。とてつもない淋しさに襲われて 涙が止まらなくなって経っていられなくなりその場に座り込んでしまった。 ******************************* イライラが収まらないから、海羽の手は繋げない。 とにかく早く家に帰って落ち着きたい。 海羽をマンションの前に降ろして、車を走らせるふとミラーに目を やると地べたに倒れ込む海羽が目に入った。 俺は車を止め、海羽のところまで走り海羽を抱きかかえた。 「海羽?みう?どうした?」 みうは泣きじゃくっていた、呼吸も過呼吸気味になって。た 「海羽。落ち着こう、深呼吸しよう・・・」 俺の腕を掴んだ海羽は 「と・・・う・・・わ・・・さ・・・ん・・・・ わたし・・・もう・・・い・・ら・・・な・・・い?・・」 俺は海羽を追い込んでしまったんだ。 「海羽をいらないなんてことはない。離さないっていっただろ!」 その言葉を聞くと少し微笑んで海羽は俺の腕の中で気を失った。 俺は海羽を車へのせて俺のマンションに急いで連れて帰りベットに寝かせた。 少し様子を見て、呼吸が落ち着いたのを確認して、リビングへ。 ソファーに座り、天井を見上げる。 「はあーー俺は何をやってるんだ」 海羽にも考えがあったはず、聞いてやればよかった。大人げなかった。 海羽が目覚めたら、海羽の話を聞いて俺の気持ちも伝えよう。 そして、改めて一緒に暮らそうと言おう。 ******************************* ここは??私・・・透羽さんに送ってもらって・・・ 「透羽さん?」 透羽さんのマンションだ。でも私の隣に透羽さんはいない。 不安になりベットルームをでた。 リビングのソファーに透羽さんが寝ていた。 少しほっとした。透羽さんの手を握った。 「ん・・・?海羽!」 透羽さんが飛び起きた。 「大丈夫か?」 「はい。すみません。」 「いや、謝るのは俺の方。どなって悪かった。 俺はただ一緒にいたかっただけなんだ。海羽がかわいそうだからじゃない。」 「分かってます。私・・・透羽さんにはきっとふさわしくない。透羽さんの ご両親もきっと・・・・。今ならまだ1人になっても大丈夫・・・」 透羽さんは私を力いっぱい抱きしめた。 「海羽。俺の両親は大丈夫。それより、海羽は俺がいなくても大丈夫 なんだな。俺は無理だ海羽がいないともう無理だ」 「透羽さん・・・・私も…無理・・・です。でも・・・でも・・・」 「海羽もういい。俺は海羽を『愛してる』海羽は?俺をどう思ってる?」 「私も透羽さんも『愛してます』」 「海羽、一緒に暮らそう」 「はい。」 私は、透羽さんの背中に腕を回して抱きしめた。 そこからの透羽さんは早かった。すぐに私のマンションの解約手続きをして 私の荷物を透羽さんのマンションに運んだ。 「海羽、親しい人には引っ越ししたことを伝えておいた方がいいんじゃないか?」 「まひろには伝えておきます。今度会ってもらいたいです。まひろとまひろの旦那さんの今野は私の同期で私の事を知っている数少ない友達です。」 「ぜひ、会いたい。そうだ、明日家にきてもらったらいい。連絡してみたら どうだ?」 「明日??」 「海羽。俺も仕事で家を空けなきゃいけない時もある。海外にいるときも ある。お前に何かあった時に、何もしてやれないかもしれないから、お前の 大事な人には会っておきたい。」 私の事を真剣に考えてくれてる。嬉しい。 「電話してみます」 「みう??元気??どうしたの?」 「まひろ、私ね引っ越しをしたの。まひろには連絡しとこうと思って」 「え!」 「それでね。紹介したい人がいるの。だからもし明日予定なかったら 会ってくれないかな?」 「会うよ!もしかして例の人?」 「う・・・ん」 「会えたんだね。良かった。」 「今野も一緒に来てね。住所は後で送るね」 「了解。」 「お腹、気を付けてね」 最後の言葉に透羽さんが不思議な顔をした? 「まひろ妊婦さんなんです。あと2ヶ月くらいで産まれるんですよ。 今は産休中です。」 「そっか・・・明日は朝から掃除だな」 「ですね。」 「今日は抱くのは我慢するが、一緒には寝させてくれ」 「はい」 と2人でベットに入った。
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