パーティー(海羽&透羽)

1/1

376人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ

パーティー(海羽&透羽)

翌週の土曜日。パーティーの始まる2時間先週のお店に行き ドレスに着替えたり、ヘアメイクをしてもらったりした。 私がヘアメイクをしている間に透羽さんは着替えたみたいで、 準備が終わってメイク室をでると、スーツに身を包んだ透羽さんが椅子に 座って私を待っていた。 透羽さんかっこいいなあ。 「お2人ともとてもお似合いですよ。」 「お写真撮りますか?」 と店員さんに声をかけられた。私は撮りたいけど・・・チラッ透羽さんを みると、 「そういえば2人の写真なかったな。お願いします」 と自分の携帯を店員さんに手渡してくれた。 透羽さんの隣で緊張する私。 「海羽様、笑顔ですよ。」 と言われても笑えないーーー。 耳元で透羽さんが『愛してる』と言ってくれた瞬間に笑顔がこぼれた カシャッとシャッタ-音がする。 「いい写真だな」 そこには笑顔の私と透羽さんがいた。 「後で私にも送ってくださいね。まひろにも見せたい!」 「分かった分かった。じゃあ行きますか。」 と私と手をつないでお店を出て車に乗り込んだ。 30分ほどで大きなお屋敷についた。 さすが、颯真社長のご実家・・・。 「すごーい。透羽さんのお家もこんな感じですか?」 「こんなじゃないよ。普通の家」 普通の家って何だろう?? 車を預けて中に入る。受付があり、透羽さんが名前を告げる。 そして会場入る。 「透羽、海羽さん」 と颯真社長が私たちを見つけてこちらに来てくれた。 「悪いな」 「ホントだよ。親父さんにはちゃんと伝えてくれたんだろうな」 「いったさ。残念がってた。」 「先に挨拶してくる。海羽はここで少し待っててくれ。 海羽には颯真の親父は面倒だから今時点では会わせたくない」 「はい」 「もうすぐ奈菜もくるはずだから、座って待ってて」 「はい」 颯真社長と透羽さんは主賓の控室の方へ歩いて行った。 私はおとなしく、ソファーに座ってまっていた。 「海羽ちゃん?」 誰かが私を呼んだ。振り返ると見覚えのある顔だった。 「海羽ちゃんだよね。なんでこんなところに?元気だったか?」 その人は私が唯一お付き合いした方で、捨てられた人。 長内 仁志(おさない ひとし) 「ひと・・長内さん」 どうしていいか分からずひとまずこの場から去ろうとしたら 腕を掴まれた。 「キレイになって驚いたよ。今は何をしてるの?あれから心配して いたんだ。あんな形で別れてしまって・・・」 何でその話をするの。もう忘れかけていたのに・・・。 「もういいです。離してください」 「避けなくてもいいだろ。今度また会おうよ 何でそんなことが言えるの?急に天井がぐらつくような感覚になったその時 「私の連れがなにかしましたか?」 と透羽さんが私の腕から長内さんのてを離した。 「いえ。昔の知り合いでしてご挨拶をしていました。お連れの方が いらしていたとは知らず、失礼しました」 とそそくさとその場を後にした。 「誰だ?」 「前にお付き合いをしていた人です。」 「腕を掴まれたのか?」 「でも大丈夫です。透羽さんが来てくれまし・・・ というところで大勢の人の前で、透羽さんが私の肩にキスをした。 ************************************ 「おじさま。あの方は高科透羽さんでしょ?いつ見てもステキ 私をご紹介してください。」 「いや、隣にいる人と結婚を前提にお付き合いをしているとさっき言っていた。申し訳ないなあ」 「いやだ、そんなんじゃないですよ。お友達になりたいだけですよ」 「それなら大丈夫だな。私と一緒にきなさい」 *********************************** 遠くから、ロマンスグレーのステキな方と、髪の長い真っ赤なマーメイドドレスに身を包んだ女性がこちらに向かって歩いてきた。 「透和くん」 「なんでしょうか。そちらが例の?」 「そうです」 「私には紹介してくれないのか?」 透羽さんは嫌そうな顔をしていたが、颯真社長のこともあるので 「真野 海羽と申します。颯真社長の会社で仕事をしています」 「なんと!颯真の会社で!私は颯真の父の颯士(そうじ)です。 これからも颯真を透羽くんと支えてやってくれ」 「はい。もちろんです。」 「それでな透羽くん、こちら皆川 京香(みなかわきょうか)さん 私の友達の娘さんなんだが、透羽くんと友達になりたいそうなんだ」 その女の人はむせかえるような香水の匂いで、私をおしのけて透羽さんの 腕に手を回す。 「初めまして、皆川 京香です。仲良くしてください」 透羽さんは自分の腕に巻かれた女の人の腕を無言で外す。 「もう、いいじゃないですか。このくらい」 私なんか目に入ってない。 「彼女が気分を害するので離れていただけますか?」 と私に微笑みかけてくれた。 「この方は透羽さんにはふさわしくないですよ。一般人なんでしょ? ご自分の身分をわきまえたら?」 その言葉に透羽さんは 「彼女は私の一目ぼれなんです。身分とか私は気にしませんので。」 と颯真社長のお父様と皆川京香さんから離れた。 「なんなんだあの女は、海羽 気にすることはないからな。だから俺は 颯真の親父のパーティーは行きたくなかったんだ。正直なところ いままではああいう女と軽く付き合っていたこともあったが、 海羽に出会ってから海羽だけだからな。」 「大丈夫ですよ。透羽さんが私を想っているのはいつも伝わってますから」 透羽さんは私のおでこにキスをして、 「もう帰ろう。颯真に文句だけ言ってくるから、クロークで荷物をもらって 待っててくれ」 「お化粧室にいってから、クロークにいきますね」 「分かった」 と颯真社長のところへ歩いて行った。 私は化粧室に行き。気持ちを落ち着けようとした。皆川京香さん、大人っぽくてきれいで、きっと家柄もよくて・・・透羽さんの周りにはあんな女性ばっかりいるんだなあ。釣り合わないって周りがいっても、透羽さんと私の気持ちが ちゃんとつながっていればきっと大丈夫! 少し落ち着いて、クロークに荷物をとりに行こうとすると、後ろから腰に手を回された。 「やっ・・」 「いい声出すようになったな。あいつに仕込まれてるの?」 振りかえると長内さんだった。背筋に悪寒がはしる。 「やめてください」 「いい女になったよ。あの時捨てなきゃよかったな」 「何をいってるんですか?」 「俺はお前と別れたくなかった。処女だったしもっといろいろ仕込みたかったし、俺のおもちゃになる女だった。でもお前の家は片親だし一般家庭だから親がOK出さなくて仕方なく別れたんだ。お前の後も いろんな女とつきあったが、どの女もすぐ俺に尻尾を振ってきて恥もなく なんでもやるから面白くない。お前に会えたのも神様のプレゼントだな。」 吐き気のするような笑顔を私にむける。 そんなことを考えながら私といようとしたなんてひどすぎる。 私の中で何かが壊れていく音がした。 呆然としている私に、容赦なく襲い掛かってくる。 私を壁に追い込み、首筋に唇を近づけてくる。気持ち悪いの恐怖で声が 出ない。透羽さん、助けて。その時、 「お前、海羽に何やってるだ!」 と透羽さんが長内さんから私を奪った。私の体は震えが止まらない。 「いいかげんにしてください。海羽とあなたはもう関係ないはずです。 もう海羽に変なことをしないでください」 握った手がプルプルしている、でも透羽さんは落ち着いているかのように 言葉を発する。 「海羽ちゃんは俺のものだ。返してもらう」 「海羽はモノではない。失礼する」 と透羽さんは私の手をとりその場を後にした。 ************************************** 皆川京香はきつい香水の匂いで身をまとい、海羽をおしのけて俺の腕に手を回す。 「初めまして、皆川 京香です。仲良くしてください」 仲良くなんてしない。海羽をおしのけやがって。海羽の存在を分かって やっている。質が悪い。 俺は腕に巻かれた女の腕を外す。 「もう、いいじゃないですか。このくらい」 よくない。うざい。香水が臭い。 俺の隣で海羽が不安そうな顔をしている。 「彼女が気分を害するので離れていただけますか?」 と俺は海羽を安心させるように微笑みかけた。 「この方は透羽さんにはふさわしくないですよ。一般人なんでしょ? ご自分の身分をわきまえたら?」 この女は何を言ってるんだ。こんな大勢の人の前で・・・ 「彼女は私の一目ぼれなんです。身分とか私は気にしませんので。」 と俺は、颯真の親父と女から離れた。 「なんなんだあの女は、海羽気にすることはないからな。だから俺は 颯真の親父のパーティーは行きたくなかったんだ。正直なところ いままではああいう女と軽く付き合っていたこともあったが、 海羽に出会ってから海羽だけだからな。」 本当に最悪だ! 「大丈夫ですよ。透羽さんが私を想っているのはいつも伝わってますから」 よかった。さすが俺の海羽だ。俺は海羽のおでこにキスをして、 「もう帰ろう。颯真に文句だけ言ってくるから、クロークで荷物をもらって 待っててくれ」 「お化粧室にいってから、クロークにいきますね」 「分かった」 と颯真のところへ向かった。文句をいっとかないと気が済まない。 「颯真!お前の親父にまた変な女を紹介された。あの女は質が悪そうだ。」 「誰?」 「皆川・・・・」 「まずいな・・・有名なわがままお嬢さんだ」 「とにかく俺は今日は帰る。海羽が辛い思いをしている。文句は言うなよ」 「悪かったな。海羽さんにも今度きちんと謝罪する。」 「そうしてくれ。じゃあな。」 会場を後にする。トイレにいってからクロークに行くといっていたが クロークにいない。 トイレの方に移動すると、海羽がさっきの男に壁に追い込まれ、 首筋にキスされていた。 今にも泣きそうな悲しそうな顔だ。俺は、 「お前、海羽に何やってるだ!」 と叫びそいつから海羽を奪った。海羽の体は震えている。 「いいかげんにしてください。海羽とあなたはもう関係ないはずだ。 もう海羽に変なことをしないでくれ」 ここで手を出してはこちらの負けだ。悔しくて握った手が プルプルしている。 「海羽は俺のものだ。返してもらう」 こいつは今更何を言っているんだ。さっきの言動といいイカレテる。 「海羽はモノではない。失礼する」 と俺は海羽の手をとりその場を後にした。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

376人が本棚に入れています
本棚に追加