非現実その1(透羽VS京香)

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非現実その1(透羽VS京香)

仕事が終わって、俺は海羽を家に送った。 家には奈菜が来てくれている。 海羽が着替えにいっている間に 「奈菜、悪いな。」 「何いってるの。私たちの仲でしょ!海羽ちゃんは大事な妹よ!」 「助かるよ。海羽には長内の話はしないようにしている。あんな海羽は みたくない。」 「分かってるよ。みんで守ろう!」 「何をですか??」 海羽が部屋着で出てきた。 「海羽ちゃんをね、透羽のエッチの魔の手から守ってあげるの」 「奈菜!!!」 「はいはい。早くメンズ会にいってらっしゃい!」 「海羽、悪いな。」 俺はいつものように、海羽を抱きしめておでこにキスを残す。 「楽しんできてくださいね」 「もうーイチャイチャしないでよー」 「奈菜さん/////」 「じゃあ。いってくる。」 ******************************** 俺が宗太郎の店に着くとすでに、颯真と海人が来ていた。 そして海人にパーティーでの話、海羽の過去の話をした。 「会社の往復は透羽さんがいるからいいとして、仕事中は俺も部署が 違うから近くにいることができませんよ」 「そうだよなあ。透羽のサポートに入ってもらったらいいんじゃないか?」 「急に副社長のサポートは会社中がおかしいと思われますよ」 「確かになあ・・・何かいい手はないかな・・・」 俺は黙って話を聞いていた。 「透羽?どうした。」 「イヤ・・・」 「俺たちはとにかく全力でお前たち2人を守るからな」 「ありがとう。」 「ひとまず。今日は楽しもう!」 と幸太郎も含めて4人で飲んでいた。 その時、店の扉が開く。 「いらっしゃいませ」 きつい香水の匂いが店に舞い込んできた。 「透羽さんいらっしゃるでしょう。」 俺の名を呼ぶあの猫なで声。 香水の匂いがだんだんと奥の方へ近づいてくる。 「透羽さん・・・あら颯真さんも一緒だったのね。 もう1人の方もステキね。バーテンさんもイケメンだし。楽しそうだわ。 私もご一緒していいかしら?」 皆川京香だ。颯真が紳士的に答える。 「京香さん。今日は男4人で飲んでいるので遠慮していただけませんか?」 「あら、男だけなんてつまらないでしょ?」 「男だけで話したいこともありますよ。」 「颯真さんはもういいわ。私は透羽さんと一緒にいたいの。」 と女は俺の隣に無理やり座り、この前のように俺の腕に手を絡めて くる。 「皆川さん、離してください。」 「皆川さんなんて、いやだわーー京香と呼んで」 イライラが止まらない。颯真も海人も幸太郎も困った顔をしている。 「皆川さん、場の空気を読んでくれ。」 「この場を離れますから、透羽さんは私と一緒にどこかで飲みません?」 「お断りします。」 「あのお子ちゃま彼女がいるからですか? 透羽さんはオモテになるから浮気の1つや2つ問題ないでしょう?」 更に俺の太ももに手を置く。 「彼女は関係ありません。俺は持てないし浮気なんてしない」 俺はその手を払う。 女はムッとして立ち上がり、 「今日は帰ります。でも私は透羽さんを諦めません。 絶対にあなたを手に入れます」 とスタスタと店から出ていった。 店が静まり返る。 「あの女なんなんですか?金持ちはみんなあんななんですか?」 と海人が尋ねる。 「あの人は典型的なわがままお嬢様だよ。ご両親やお兄さんは普通の 方達なんだが・・・」 「あの気迫は確かにヤバイ感じしますね」 「幸太郎、あの女は今後店に入れるな」 「分かりました」 「海人も、幸太郎も、あの女には気を付けろ。海人はかかわらないほうが いいかもしれない。まひろさんもこれから産まれる子供にも何かあっては いけない」 「透羽さん、俺だって大事な人は守れます」 「金持ちは何をするか分からない。何かあってからじゃ遅いんだ!」 俺は海人を怒鳴ってしまった。 「透羽」 颯真に声をかけられて我に返る。 「海人。悪い。」 「いえ。俺らの事を心配してくれてるからですよね。何か力になれる 事があれば絶対にいってください。」 「分かった。」 ****************************** 店を出て颯真と一緒にマンションに帰ろうとした。 マンションについたら、黒塗りの車が停まった。 そしてまたあの匂いが俺を包む。 「つけてきたのか?」 「人聞きの悪いことを言わないでください。たまたま通りかかったら 透羽さんと颯真さんがいらしたのよ。」 「京香さん、偶然なわけないでしょう。」 颯真も声を荒げた。 「颯真さんまで、失礼ね。ステキなところにお住まいなのね。 お部屋みてみたいわ。いいでしょ?」 「いいわけないだろう。いいかげんにしてくれ」 「透羽さんそんな怖い顔をしないで。私は透羽さんをお慕いしている だけです。その方の事を知りたいのは自然な事でしょう」 「ストーカーを一緒だ。警察を呼ぶぞ」 「まあ物騒ですね。今日は帰ります。」 と俺の頬をなぞって帰っていった。 「つけてくるなんてな」 俺は早くこの匂いをどうにかしたかった。 部屋に帰ると、海羽が出迎えてくれたがあまりにも匂いが気持ち悪く 「先にシャワー浴びるわ」 と海羽にかまう余裕なくシャワールームに入る。 「海羽ちゃん、透羽汗かいてベタベタしてるっていってたから、汗臭い から海羽ちゃん抱きしめたくなかったんだよ。 「そうなんですね。颯真さんお茶入れますね。どうぞ」 「ありがとう海羽ちゃん」 俺はシャワーを浴びながらイライラを抑えようと必死だった。 あの女の匂いを消したかった。こんな俺で海羽を抱きしめたくなかった。 きっと海羽は変に思ったに違いない。 俺がシャワーから出ると、颯真と奈菜はすぐに帰っていった。 2人を玄関で送って2人になったら、海羽が俺を心配そうに見る。 そうだよなあ。俺は悟られないように海羽を抱きしめる。 「海羽?」 「何ですか?」 『愛してる』 「急にどうしたんですか?」 『愛してる』『愛してる』『愛してる』 「/////恥ずかしいです」 「海羽は俺を愛してない?」 「/////愛・し・・て・・ます・・よ?」 「最後のよ?はなんだよ」 「だって・・」 海羽は本当にかわいい。ずっと俺のそばにいて欲しい。 海羽の耳元で 「抱いてもいい?」 と聞くと海羽は小さく頷く。 「でも、シャワー浴びてないからちょっと待ってて・・・」 「嫌だ待てない。そのままでいい」 「私が嫌です」 「ベットで待ってるから早くきて」 「はい」 海羽がシャワーを浴びている間にベットに寝転んでいろいろ考えていた らいつの間にか寝ていたようで、気が付いたら朝だった。 俺には布団がかけられていて、隣には海羽がすやすやと寝ていた。 絶対に海羽を守る。
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