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【 最終話: 15分間だけのキミ恋フレンド② 】
「未来とは、小さい時からずっと一緒に遊んでいたけど、中学になってからは、俺も恥ずかしくて声かけられなかった……。でも、アメリカへ行くことが決まって、未来にいつ言おうかずっと迷ってた……。このまま何も言わず、アメリカへ行こうかとも考えてた……。でも……、最後に未来にこうして、会えてよかった」
「あぁぁぁん……、拓巳くん、どうして早く言ってくれなかったのぉ……」
「ごめんよ、未来……」
「みんな、みんな、ほんとにバラバラになっちゃう……。そんなのいやだ……。そんなのいやだよ……。ふうぅぅ……」
私は、中学を卒業する寂しさと、みんなと別れてしまう悲しさと、拓巳くんともう会えなくなる切なさを感じて、溢れ出してくる涙を止めることが出来なかった。
もっと、残り時間があれば、拓巳くんともっともっと、いっぱいお話が出来たのに。
私は、そういう思いで、大粒の涙を流していた。
「未来、今日、来てくれて、ありがとう。本当は、俺、すごく嬉しかった……」
「拓巳くん、私も今日、拓巳くんじゃなきゃ、来なかった……。拓巳くんだから、勇気を出して来れた……」
「あははは、未来は俺じゃなくても、かわいいから、新しい高校ですぐに彼氏が出来るよ」
「出来ないよぉ~、そんなの……。拓巳くんじゃなきゃ、私……。ふうぅぅ……」
「未来、いつか俺がアメリカから帰って来たら、また会ってくれる?」
「う、うん……。私も拓巳くんにまた会いたい……」
「今度会った時は、またこうして一緒に観覧車に乗ろう」
「う、うん……。絶対だよ……」
「ああ……」
すると、私たちの乗ったゴンドラは一番下まで到着して、係りの人がゴンドラの扉を開けてくれた。
私は、手で涙を拭って、彼と一緒にゴンドラを降りた。
観覧車の降車場から、スロープを二人で降りて行くと、先に降りた亮介くんと恵美が、ニヤニヤして私たちを待っていた。
「よ~、お二人さんどうだった? 二人きりの観覧車デートは?」
「ああ……、楽しかったよ……」
「でも、未来ちゃん、泣いてない? 拓巳、お前、まさか泣かしちゃった?」
「ちげーよ!」
「ううん、何か、観覧車からの景色が綺麗だったから、ちょっと感動しちゃって、涙が出て来ちゃった……。うふふっ……」
「ああ、そうか。それならいいけど、拓巳が泣かしちゃったかと思ったよ」
ううん。
本当は、拓巳くんに泣かされちゃった。
でも、その涙は、悲しい涙だけじゃなくて、二人の次のステップに向かうための希望の涙だったのかもしれない。
それから、次の日、拓巳くんは、家族でアメリカへ飛び立った。
――あれから、彼とはまだ一度も会えていない。
でも、今は悲しくはない。
あの時とは違う、希望を持っているから。
『友情』でもなく、でも『恋』までもいかない、私のまだ幼い青春の思い出。
でも、いつか私のこの想いが、少しでも拓巳くんに伝わったらいいなと思って、今、頑張ってこれを書いています。
あの時、拓巳くんにもらった思い出の『ビー玉』を見つめて……。
『想いよ届けって……』
END
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