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そして、復活した死者達は私の方に一斉に向かってきた。
私は命の危険を感じ、咄嗟にハンドガンから弾を乱射した。
弾は確かに復活した死者にあたりこそするが、彼らは特に行動を変えず、ダメージを与えられている気がしない。
あまり知力は高くなさそうで、まさにゾンビのようにただ愚鈍に動き回る彼らだが、いくら攻撃しても倒すことはできないらしい。
私は軸のシールを貼ったボタンを投げた。
そして、そのボタンを軸に、私を回転させた。
私はその回転により、先ほど入っていた家の屋根の上にたどり着いた。
ここなら、復活した死者達は登ってこれないだろう。
私は回転の指輪を駆使して、この村の民家の屋根の上を進むことにしたのだ。
地面では、復活した死者達が私の方を見ていた。
復活した死者の中に一人、格好がおかしい者がいることに気づいた。
見慣れた服だ。
遥か昔の洋風のような様のこの大陸には不釣り合いな出立の男だが、その服は見慣れている。
なぜならその男の服は、私が死ぬ前に嫌というほど見た、スーツという服装だったからだ。
スーツ姿だが、肌はボロボロの小太りの中年も、ゾンビのように歩いていた。
その中年は、手から何かを落とした。
私はそれを凝視し、目に入ったそれは二つのサイコロだった。
「まじかよ」
私は呟いた。
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