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コンクリートのような材質の塔の上、ゆっくりと一羽の鳥が空から現れた。
空を覆い尽くすほどの虹色の羽を持つ、大きすぎるワシのような鳥だった。
大きな虹色のワシのような様をしているが、私を見るその目は、とてつもなく優しかった。
私は人間の姿に戻った。
「また、冒険者ですか」
その鳥は風鈴のように美しい声で、そう尋ねてきた。
「うん、きっとここに来たであろう他の人と同じかな」
「そうなのですね」
その鳥は本当に一つの邪気もない、穏やかな目をしていた。
「ここはなんなの?」
「ここは、始まりの鳥の住処と呼ばれている塔です」
「てことは、あなたが始まりの鳥?」
その鳥は頷いた。
「ええ、そうです。私は寿命が何億年とある鳥なのです。
その私はずっと、この大陸を見守っていました。今いるほとんどの生命が栄える前からずっと、見守っていました。
その私を私の生まれた後から栄えた人間の方々が敬ってくれ、この塔を建ててくれました。
だから、私はずっとここで、こののどかだった大陸を見守っていたんです」
始まりの鳥は、何故か悲しそうな、憂いを帯びた表情をした。
「どうして、そんなに悲しい顔をしてるの?」
私はたまらず尋ねてしまった。
「私の大好きだったこの大陸は、滅ぼされてしまったのです」
始まりの鳥はそう告げた。
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