始まりの鳥

4/7
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
「元々のどかな、争いも少ない大陸でした。 その大陸にて、人間の方々は農業などをして、暮らされていました。 そんな折、この大陸に二人の来訪者が現れたのです。 一人目は慈極 煉路郎と名乗った、およそ人間の見た目とはかけ離れている男で、この大陸の民達を不思議なサイコロの力で蹂躙していきました。 彼は生者を死者にする能力と、死者を生者にする能力を併せ持ち、この大陸を荒らしていったのです。 生者を死者にする能力と、死者を生者にする能力は相反していると思われるかも知れませんが、とてもそんなことはありませんでした。 奴に殺され、そして生き返らされた者は不思議なことに皆、慈極の手下となり、他の者を襲ったのです。 復活した死者が生者を殺し、死んだ者を慈極が復活させ、その復活した死者がまた生者を殺す。 そうして、この大陸は息絶えました。私もなんとか慈極を止めようと応戦したのですが、力及ばず、無念な結果となってしまいました」 始まりの鳥は、くちばしを歪め、確かにとても悔しそうな表情をしていた。 慈極とは、前の大陸でジャバラから聞いた、この大陸を統治しているらしい男の名だ。 「それで、この大陸は双六にもされたの?」 始まりの鳥は頷いた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!