18人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
まるで、これから向かう先は地獄だとでも言わんばかりに、下界の天気は荒れ狂っている。
嫌だな。
私は、心掻き乱された。
それでも、進まねばならない。
荒れ狂う世界でも進まねばならない。
私は銀色の扉を開き、その中に入る。
そして、見慣れた双六世界に現れた。
この大陸も前の二つの大陸と同じで、マス同士が白黒の線で結ばれた、お馴染みの双六の世界が存在していた。
しかし、この大陸では各マスのそばに、古びた洋館やら墓所やらの不気味なオブジェが立ち並んでいた。
ジャバラが死の大陸と呼んでいたここが不気味な大陸であることは、重々に理解できてしまう。
私は意を決して、サイコロを振った。
二つのサイコロはコロコロと転がり、2と2の目を出した。
私はその出目分進む。
4マス進んだ先のマスの横にあるオブジェは、肌と服がボロボロで、その薄汚れた肌に至っては、骨が見えているところもあるほどの、およそ健常とは程遠そうな人間が無数の家に囲まれて立っているオブジェが存在していた。
不気味な大陸に相応しく、不気味なマスだ。
勿論気乗りしない。
しかし私は、そのマスに行かねばならない。
私は吸い込まれるように、そのマスの中に入っていった。
最初のコメントを投稿しよう!