ガスマスクとサイコロ 第3章

死者の村からの脱出

悲しい村。

それが、私が今いる村だ。

この村に生者はおらず、死者が徘徊している。

始まりの鳥が言ったことと照らし合わせると、間違いなくそうなのであろう。

私は死者が徘徊するその様を一つの家の中から、窓を経由して見ていた。

外に徘徊している数多の存在は、ゾンビとでも呼称したくなるほど生命感がなく、目的など持たないかのように、うろうろと彷徨っている。

「これが、慈極の能力か」

私は骨が見えても歩き続ける復活させられたであろう死者を見て、とても苦しい気持ちになった。

私の前にお馴染みの紙が現れた。

ミッション名:メルーシアから脱出しろ

ステージ: 滅んだ村　メルーシア
難易度: 25
クリア時の報酬: 2,000,000ゼン
失敗時の罰金: 2,000,000ゼン

そんな紙が現れた。

私はその紙を凝視する。

かなりの高難度かつ、失敗時の罰金もクリア時の報酬も桁違いに大きい。

前の大陸の十倍ほどもありそうなその報酬及び罰金に、身震いしてしまう。

そして、そのミッションの内容は、この村から脱出するという、至って分かり易いものだ。

しかし、その難易度から、簡単なものではないことなど容易に想像できてしまう。

私は、ゴクリとツバを呑んだ。

外では相変わらず、死者達が歩き回っていた。