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「ずいぶん白いな」 蝋人形みたいな白さは左右の女より際立っている。 「そうなの。会ってみたらガクはすぐに分かるよ。薬やってるんだなって。」 ガクは頷いて、すぐに写真の男から目をそらした。 心霊写真を見ているような気分だった。男の笑顔が徐々にぎこちなく見えてくる。ミノリは写真をポーチに戻した。 「今日はお店を誤ったわ」 ミノリはサングラスをかけて立ち上がる。テントのような屋根で、森のなかでキャンプをやっているような造りだ。 アルコールの匂いと汗の匂い、飛び散る唾。 すべて汚ならしい。 ガクもミノリに次いで店を出た。 「去年の今頃、ありえないわよ。 マスクを外して歩くことだって、犯罪みたいだったのに。」 あっという間に終息したように思えた感染症は、実は二年半におよぶ長い期間だった。 自分達の人間らしい娯楽を奪い、多くの人を殺してしまった感染症を未だに思い出す。
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